2010年7月27日火曜日

第二話:感想

事件発生から無法の裁きに踏み切るまでのストーリー構成は相変わらず甘い。
役者と演出に相当助けられているが、刑事モノとしての最低限のリアリティは維持し続けて欲しいものだ。
オープニングのあの仰々しいコメントも止めたほうがいい。あのコメントが活きるほどリアルでもなくマンガでもないこのドラマにおいては逆効果でしかない。

役者に関しては第一回に比べてキャラクターが馴染んできて面白くなってきた。
鹿賀に続き、堺、錦戸、平山、土屋が、役柄にひとつふたつ乗っけてきているのがわかる。一瞬の表情や短い台詞回しひとつで、役に脚本を超えた魅力を与えてみせるのだから良い役者というのは見ていて楽しい。

また彼らの間には海外ドラマで言うところの「ケミストリー」もある。
特に堺と錦戸の相性は意外なほどいい。ラストシーンの堺の冷酷さの滲み出る表情と錦戸の狂気を感じさせる笑顔には釘付けになった。

平山も役柄上は伊達にライバル心を燃やす同僚刑事だが、その裏に抱く同期の伊達に対する信頼や親しみも上手く織りまぜて来栖淳之介を人間味のある役に育てている。非常に上手い。

土屋は例え画面に写っていなくても丁寧に演技をしている印象がある。
出番は多くないものの堀田というキャラクターをしっかり作りこんでいるのでどのシーンでもブレないし、見切れているようなシーンでもそこに堀田がいることが感じられる。

杏やりょうもいい演技をしているが、杏については脚本に書いてあるキャラクターをそのまま頑張って演じている印象だ。杏のキャリアから考えれば決して悪くない演技だが、元々ポテンシャルのある女優なので今後の化けに期待したい。

りょうについては冴子というキャラクターを丹念に探っている様子が伺える。堺・大杉以外の俳優と絡む来週辺りにそれが牙を剥くのではと期待している。

永岡もいい雰囲気は出しているがまだまだ周囲の様子伺いをしている雰囲気なので本領発揮はもう少し先なのかもしれない。

今回役が大きく動いた大杉は、あえて前に出ず、カラーも出さないことで長いタメを作っていたようだ。伊達の回想シーンで出てきた大杉とバーのマスターの大杉の違いにはやられた。大杉漣の一番面白いところをこのドラマは見せてくれそうだ。
鹿賀が役柄のカラーを初っ端から出してきたのとは対照的で良いバランスだと思う。

あらためて第一話を見返してみると、あの段階では役者が情報不足のまま探り探り演じていたのがよくわかる。
制作側が役者に役の情報をどれだけ与えているのかはわからないいが、このドラマのいいところは脚本でも主題歌でもなくひたすらに役者なので、制作側も役者には必要な情報をきちんと与え、役者とともに丁寧にドラマ世界を作っていくことが非常に重要な要素となるだろう。

現在のところ話のテンポもよく演出と役者の相性も悪くない。
ただし脚本は頭の中に浮かんだプロットを練らずにそのまま出しているようなところがあるので、脚本が役者に余計な戸惑いを与えないよう十分に注意を払うべきである。


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