2010年8月27日金曜日

第七話:伏線?セリフ集

(Bar Mikamiにて)

井筒「5年前、宮城夏樹が殺害されたとき、俺は容疑者の一人だった。アリバイがなかったからな。でもそれをおまえは偽装してくれた。でもあれは俺をかばうためじゃなかったんだよな。…俺を泳がせるためだったんだよ。なあ?」

(三上、驚いた表情で伊達を見る)

井筒「当時俺が何を追っていたのか、それに夏樹がどう関わっていたのか、俺がパクられたら判らねえもんなあ?」

(三上、不満気。井筒、伊達に一枚の紙を渡す)

伊達「何ですか?」

井筒「俺のアリバイの詳細。5年前のコンビニ強盗殺人事件、俺とお前がいつどこを捜査したか詳しく記しといた。片桐に渡しといて」

三上「そんな捏造、許される訳ねえだろ」

井筒「バーのマスターに言われる筋合いのことじゃねえよ」

三上「おまえ、定年前に俺が警察辞めたこと、根に持ってんのか?」

井筒「そんなに心の狭い男じゃないよ、俺は。…ただ今更パクられたくないだけだよ」

三上「アリバイが崩れたら一巻の終わりじゃねえか」

井筒「ふふん、3年ぶりに話せてよかったよ。ごちそうさん」

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(久遠部屋。神隠し模倣犯によって殺害された詐欺師の記事を前に)

久遠「どういうことだよ!俺たちと同じことをやってる連中が他にもいるなんてよ!」

伊達「オレオレ詐欺の怨恨の線もありえる」

久遠「遺体には”悪人に制裁を”ってメッセージが貼ってあったんでしょ?普通に考えて模倣犯の可能性のほうが高いっしょ」

伊達「神隠しは警察の中だけで噂されてることだ。世間には広まっていない。つまり、もし模倣犯だとすれば、それは警察関係者の犯行ってことになる。とにかく様子を見るしかない」

久遠「そんなこと言ってる場合かよ。こんかいのオレオレ詐欺の容疑者だってもう少しでパクれたんでしょ?…法の裁きに関係なく人を殺すなんて許せねえ。とにかくこの模倣犯を早く捕まえないと俺達にまで害が及ぶ。もし正体がバレたら…」

(あすかがノックもしないで駆けこんでくる。何事もないふうを装う伊達と久遠)

あすか「伊達さん。事件です」

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(あすかが運転する車から降り、吐きそうになっている伊達)

久遠「ほら、行くよ」

あすか「またですかぁ?」

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(来栖・堀田・轟・溝口・武本、根津健太の遺体を前に現場検証中)

久遠「(堀田をどけて)死因は?」

溝口「死因はじゃねえよ、今頃来やがって!」

(久遠、肩を竦めて愛想笑い)

堀田「(久遠の腕を引っ張って)ふふ、じゃねえよ」

(久遠と堀田、睨み合う)

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(捜査一課前の廊下に冴子が立っている)

冴子「よっ!」

伊達「おぅ!…じゃないよ。こんなに自由に署内を行き来できるルポライターは君ぐらいのもんだよ」

冴子「そぉんな褒めないでよ」

(伊達、冴子の行く手を阻むようにロッカーに手を付く)

伊達「…褒めてないよ。元警官の特権を利用しすぎ。わるいけど…」

冴子「夏樹の事件!…嘘ついたでしょ。来栖だっけ?あなたの部下。彼の話じゃ井筒課長にアリバイはなかったって。…どういうこと?」

伊達「そうだ、そうだ、そういえば」

(伊達、カバンをひらいて井筒から渡された報告書を取り出す)

伊達「これ、井筒課長から」

冴子「当時の捜査資料か。…随分用意がいいねえ」

伊達「暑っつい、暑っつい(部屋に入っていく)」

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(伊達と日向、根津美代子の自宅で聞き込み)

日向「義弟さんの犯行だとしても許せませんか?」

美代子「……はい」

日向「殺してやりたいですか?」

伊達「(咎めるように)日向くん」

美代子「…殺したいですよ。あの人を失った悲しみは、それぐらい深いんです」

(美代子の自宅を出て)

伊達「どうしてあんなことを言ったのかな。警察官としてあまり誉められた言動じゃない」

日向「ならあなたは許せますか?大切な人が殺されたら。神隠しって御存知ですか?立件出来ない容疑者を始末する。間違いなく犯罪者です。でも被害者からしたら救世主だ」

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(マーベスト・コーポレーション。ガラスパーティションの会議室にあすかと吉住)

あすか「大丈夫かなあ、伊達さん」

吉住「伊達警部って日向と組んでる方ですよね」

あすか「え、はい」

吉住「日向は相当な切れ者ですよ。まあ協調性ゼロなんで周囲には嫌われてますけどね」

あすか「似てます!頭は切れるけど周りのこと全然考えてないっていうか」

吉住「そうそうそうそう!」

あすか「ホントに手がかかるんですよねー」

(あすか、視線を移すと、コピー機で自分の顔をとっている伊達の姿が。思わず飲んでいたアイスコーヒーを吹いてしまう)

あすか「伊達さん、何やってんですかっ。伊達さんは被害者周辺のカンドリでしょ、関取りっ!」

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伊達「なあんか引っかかるんだよなあ」

あすか「またですか」

伊達「毎晩電話で話してたんだよ?どうしてFAX送らなきゃいけないんだ」

あすか「そりゃ実際に怪文書を見せて精神的に追い込みたかったんじゃないですか?」

伊達「そうかもしれない、でも」

伊達・あすか「そうじゃないかもしれない」

あすか「まだ疑問があるなら、ドウゾ」

伊達「お金が目的だったのに抜き取られたのは現金のみでカード類は無事だった」

あすか「動揺してたんじゃないですか?…まあそうじゃないのかもしれませんけど」

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日向「どうして任意で引っ張んなかったんです?自首をするための猶予を与えたんですか?」

伊達「………」

日向「ぬるいですね」

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冴子「珍しいですね。課長から会おうなんて」

井筒「5年前のコンビニ強盗殺人事件の資料。伊達からもらった?」

冴子「ええ。でもここに書かれた聞き込み先の漫画喫茶、5年前にはまだオープンしてませんよ」

井筒「…あ、そお」

冴子「いい加減教えてくださいよ。本当のことを」

井筒「……。夏樹の事件から手を引け」

冴子「………」

井筒「おまえも俺の可愛い部下だった。まあ口は悪かったけどね。これ以上追えば身の安全の保証は出来なくなるぞ」

冴子「どういう事ですか!夏樹の事件には何が隠されているんですか…。課長!」

井筒「…あいつは、俺が殺した」

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(江原の遺体を前に)

日向「手間が省けましたね」

久遠「おい!」

(伊達が久遠を制し、日向のそばに歩いていく)

伊達「彼は捕まえられた」

日向「でも江原には前科がありません。捕まえたとしても極刑にはならなかったでしょう。そのことを考えるとこっちのほうが遺族も喜ぶ…」

伊達「そういう問題じゃない」

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(久遠部屋)

あすか「やっぱり神隠しなんでしょうか?」

久遠「違うんじゃん?」

あすか「でもやってることは一緒ですよね」

久遠「いや、だから…」

あすか「もし、私の兄を殺した犯人がこのまま捕まえられなかったら、って考えることが時々あります。私の大事な家族の命を奪っておいて今もどこかでのうのうと生きてる…考えただけで気がおかしくなりそうです。正直、同じ目に合わせたいとも思います。でも、もし本当に殺されたとしたら…私は手放しで喜べないと思います。きっと後ろめたさや罪悪感で一杯になる」

久遠「…殺してなかったとしたら?」

あすか「…え?」

(あすかの携帯が鳴る。掛けてきたのは冴子。退室するあすか)

久遠「…ごめん」

伊達「江原さんを殺した犯人だけれども」

久遠「日向でしょ?俺達以外に江原が真犯人だって知ってるのはあいつしかいない。模倣犯は日向だ」

伊達「だけど彼にはアリバイがある。昨日の午後8時と午後10時、根津さんのマンションのエントランスに日向の姿が写ってた。奥さんの証言も取れてる」

久遠「夜8時から10時まで根津さんちにいたってわけか」

伊達「犯行時刻は午後8時40分」

久遠「でも非常口から出入りすれば犯行は可能だよ?」

伊達「そうなると奥さんの証言が嘘ということになる」

久遠「彼女もグルって可能性は?」

伊達「何ともいえない。これからそれを聞きに行く」

久遠「…ねえ。もし日向のアリバイが崩れたらどうすんの?」

伊達「…もちろん法で裁く。それが俺達のやりかただ」

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冴子「井筒課長がもう事件を追うなって」

(あすか、冴子を見つめる)

冴子「でもここで引くわけにはいかない」

あすか「冴子さん…」

冴子「夏樹の事件の背後にはそれだけ大きな秘密が隠されてるってこと。神隠しに繋がるなにかが」

あすか「兄はその秘密を知ったから殺されたんですか?」

冴子「そうかもしれない。確か夏樹の捜査資料が一ページなかったって言ったよね?」

あすか「はい…そこになにか書いてあるかも…。井筒課長が持ってるってことは?」

冴子「可能性はある」

あすか「じゃ私探してみます」

冴子「ん」

あすか「あの…これって伊達さんには内緒の方がいいんですよね?」

冴子「そうだね。夏樹の事件に関わっている人間にはバラさないほうがいいと思う」

あすか「彩子さんは伊達さん疑ってるんですか?」

冴子「まさか。…と言いたいところだけど井筒課長のアリバイ作りに関与してたことを考えるとね」

(あすか、辛そうな冴子を見て)

あすか「彩子さん、まだ伊達さんのこと好きなんですか?」

冴子「ふっ、そんなわけないでしょ…」

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<4年前>

(コートを着て捜査一課から出てくる冴子。廊下で待っていた伊達)

伊達「よぅ…」

冴子「おぅ…」

伊達「辞表を提出したって本当?」

冴子「…うん。夏樹の事件を揉み消しちゃうような現実を知っちゃうとね。人を信じられなくなるの嫌だから」

(冴子、歩き出し、立ち止まる)

冴子「ね…引き止めてくんないんだね(カラ元気で振り返る)」

伊達「僕は君に振られたんだよ。そんな資格はないよ」

冴子「(少し寂しそうに)やっぱりカズは女心がわかってない。…私、そんなに強くないんだけどなぁ」

(冴子、無理に笑顔を浮かべて立ち去る)

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(江原が殺された夜、血まみれで美代子の家に押し入る日向)

日向「あなたが言ったんですよ。殺してやりたいって。だからあなたの代わりに殺してあげたんです」

(恐怖のあまりしゃがみ込む美代子)

日向「(笑いながら)あいつ泣きながら言ってましたよ。死ぬとは思わなかったって。調子いいよね」

(日向、だんだん興奮しはじめる)

日向「ムカついて弾丸なくなるまで撃ちこんでやりましたよ。死んでも何発も!何発も!」

(美代子、恐怖で声が出ない)

日向「奥さん、恨みは晴らしましたから僕のこと助けてくれますよね。心配しなくていいですよ。僕の言うことを聞いていれば絶対に捕まらない。…殺して欲しかったんでしょう?」

(美代子、怯えながら頷く)

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(美代子の家。日向は8時頃から10時頃まで日向はここにいたと言い張る美代子)

伊達「もしあなたが日向のアリバイ工作に加担しているならあなたも罪に問われるんです」

美代子「違うって言ってるじゃないですか!私と日向さんはここで2時間話をした、それでいいじゃないですか!どうして私を苦しめるんですか?私は何も知りません。お帰りください。お願いです、帰ってください!」

伊達「今朝、江原さんがご主人を殺害した証拠が手に入りました。江原さんは法で裁けたんです」

美代子「だから何だって言うんですか?あの人が帰ってこないことに変わりはありません。あの人は子供を欲しがってました。結婚する前からずっと。ずっと」

(美代子の脳裏に子供が出来たことを喜ぶ夫の姿が蘇る)

美代子「あの人はもうお腹の子の顔を見ることはありません。あんなに生まれてくることを楽しみにしてたのに、もう見れないんですよ?」

(美代子の目から涙が止めどなく流れ落ちる)

美代子「さっきのあなたの推測が真実なら、私は悪いことをしています。でも心のどこかで清々している自分がいるのも事実です。…私は何も知りません。お帰りください」

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(Bar Mikaki、日向の言葉や美代子の言葉を思い出している伊達)

三上「おまえさあ。まさか模倣犯と自分が同じだなんて考えてんじゃねえだろうな」

(視線をそらす伊達)

三上「俺達は楽しんでやってるワケじゃねえ、むしろ逆だ。それでもやっているのは…遺族の明日を祈ってるからだ」

伊達「…ごちそうさま」

(バーを出ると久遠が待っている。いつもの店でラーメンを食べる2人)

久遠「伊達さん」

伊達「ん?」

久遠「俺はあんたに救われた。…ごめん、こんな言葉しか思いつかない」

伊達「(ラーメンを差して)のびちゃうよ」

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(青葉の第九倉庫に江原の共犯を名乗る男を保護を求めて身を潜めているので保護するよう伊達に伝えてくれ、と久遠から言われた日向。一人倉庫に向う)

江原の共犯者を名乗る者「自首する!早く署に連れてってくれ!」

日向「おまえも根津健太の殺人に関与しているのか?」

江原の共犯者を名乗る者「殺したのは江原だ!俺はFAXを送ったり脅しただけだ!詳しい話は警察で話す!だからっ!」

日向「甘いんだよ」

(江原の共犯者を名乗る者のシルエットに向かって弾が切れるまで撃つ)

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伊達「おまえは人が撃てればそれでいいんだな!」

(伊達、日向に銃口を向けている)

日向「ハメられたって訳だ」

伊達「”悪人に制裁を”。容疑者を撃ってあのメッセージを残したのはおまえだな」

(ボイスチェンジャーを通した久遠の声が聞こえる)

久遠「模倣犯のくせに出しゃばった真似しやがって。おまえみたいなやつと一緒にされてると思うとヘドが出るよ」

日向「(伊達に向かって)あなたが…神隠しの正体?(少し嬉しそうに)なんだよ、仲間じゃないか」

(伊達、相変わらず無表情だがいつもの余裕は感じられない)

日向「僕とあなたは同じだ」

伊達「違う」

日向「違わないよ。遺族を助けるために法を無視して人を裁く…」

伊達「だまれ」

日向「そんな権利はないのに正義のように人を殺す」

伊達「おまえと一緒にするな!!」

(余裕なく声を荒げる伊達、不審に思う久遠)

日向「何をムキになってんだよ。別に悪いなんて言ってないじゃないか。クソみたいな悪人がいなくなって遺族が救われるんだよ」

(日向、銃口の先にまで歩み寄る)

日向「俺達は救世主だ」

伊達「違う。おまえはただ人を殺したいだけだ。おまえがやっているのはただのエゴだ」

日向「だったら!…あんたがやってることは正義なのかよ?」

(伊達の表情から余裕が消える)

日向「エゴじゃないって言い切れるか?(伊達の背後をちらりと見て)…答えが聞けなくて残念だよ」

(伊達の背後から黒装束の男が現れ、伊達を殴り倒す。倒れこむ伊達。拳銃に手を伸ばすが、男によって届かないところへ蹴り出される)

日向「遅かったね…兄さん」

(男、仮面を取る。現れたのは日向と同じ港北西署の吉住)

吉住「弟を傷つける奴は許さない」

(日向、吉住から拳銃を受け取り、銃口を伊達に向ける)

日向「救世主は一人でいい」

(久遠も頭を殴られて意識を失っている)

(銃声が響く。血しぶきが上がる)

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(誰もいない捜査一課。夏樹の捜査資料の失われた1ページを探して井筒の机を漁るあすか。ペン立てを倒した拍子に何かの鍵を見つける。手提げ金庫の鍵。開けてみるとハンコなどと一緒に一枚の紙が。開いてみると探していた捜査資料の1ページだった)

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