2010年8月25日水曜日

第六話:伏線?セリフ集

 
<5年前>

(夏樹殺害現場に駆けつける伊達と冴子。そこには変わり果てた夏樹の姿があった)

伊達「宮城…」

冴子「…どうして?」

(井筒が到着)

井筒「おつかれ」

(遺体の前にしゃがんで手を合わす)

井筒「宮城の携帯は?」

溝口「そこの遺留品の中にあります」

冴子「(苛立を滲ませて)それ、どうするつもりですか?」

井筒「何か手がかりが掴めるかもしれんだろ」

(井筒、夏樹の携帯の中身を見た後、その携帯を持って立ち去る)

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(前回続き。深夜に一人、夏樹の捜査資料を調べるあすか)

あすか「”捜査一課長の井筒将明”…どうして次のページがないんだろ」

(井筒、不意に背後からあすかの肩を掴む)

井筒「過去の捜査資料は持ち出し厳禁だよ?」

あすか「すみません」

(あすか、資料を返却するために立ち上がる)

井筒「あのさあ!(あすか振り返る)…片桐に何か言われた?」

あすか「(ひきつり笑いを浮かべて)片桐、って、誰ですか?」

井筒「ふ、ふふっ…判りやすいねえ君は。兄貴と一緒だ」

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冴子「木内亨、春日恒夫、山原哲司、椎名高弘、そして、氷川成美。今年に入ってから5名が神隠しにあってる」

三上「よく調べたな」

冴子「5名の共通点は、法の裁きから逃れたこと、消息が掴めないこと、そして、神奈川県警本部の捜査一課が動いていること」

三上「まさか警察内部の仕業だなんて言わないよな」

冴子「(伊達に向かって)あなたも捜査一課だよね。次は誰がターゲットになるのかなあ」

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(交番にいた少女まおから同級生の吉永文弥が虐待を受けているので助けて欲しいと言われた久遠は文弥の自宅を尋ねる。児相や刑事にも躾だと判ってもらったという文弥の父親・広之に対し)

久遠「あなたにとっては躾でも文弥くんにとってはそうじゃないかもしれない」

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まお「(文弥の家から戻ってきた久遠に)どうでした?」

久遠「あれ、虐待じゃないなあ」

まお「そんなあ」

久遠「そう思ってもらいたいはずだよ、君には。…大丈夫。文弥くんは俺が守ってやる」
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(捜査一課は連続強盗事件の報告会の最中。来栖は苦情電話に対応中)

来栖「大変申し訳ありませんでした(電話を切る)」

(久遠が部屋に入ってくる)

久遠「伊達さん、ちょっといい?」

来栖「おい、久遠!いま青葉台署から連絡があったぞ。おまえ吉永文弥に会いに青葉団地に行ったらしいな」

あすか「青葉団地って強盗傷害の現場付近だ…」

久遠「吉永文弥は虐待されてます。痣もありました」

来栖「吉永家はな、もう所轄が様子を見に行ってんだ。虐待の事実は本人が否定してるし、父親も躾の延長で…」

久遠「(来栖の言葉を遮るように)まともに見てねえのに何が躾だよ」

来栖「(怒った表情で久遠に一歩近づく)ああっ?!」

久遠「職務怠慢だって非難されたくないからとりあえず聴取しただけだろ?そんなのなんの解決にもなんねえよ」

(堀田が久遠を制するために来栖の前に進みでて、片手で久遠の襟元を掴み上げる)

堀田「おい、なめた口叩いてんじゃねえぞ」

久遠「(冷たく)はなせよ」

(ガチで喧嘩を売ってきている久遠に、堀田の目が一瞬で鋭くなる)

滝川「ちょっと!止めましょうよ!」

(井筒が部屋に入ってきて)

井筒「おっ、喧嘩か?いいねえ、やれやれ!」

滝川「課長!」

(堀田、久遠を睨みつけたまま手を離す)

井筒「なんだやらないのか。つまんねえなあ。…おい久遠、おまえバケツ持って廊下立ってろ」

久遠「なんで俺が!」

井筒「許可無く民家に入った罰だ。それと減俸三ヶ月。セットでね。セット料金」

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(廊下で両手に水の入ったバケツを持って立っている久遠)

滝川「落ちこぼれみたいですね。あ、落ちこぼれか。お先に~」

伊達「ああそういえば、話って何だったんだ?」

久遠「ああ、ケータイ借りようかと思って」

伊達「携帯?」

久遠「いや、俺のケータイ文弥が持ってんだよ。だからあいつと連絡取りたくて。俺が救ってやんねえと」

伊達「虐待か、躾か、その判断をするのは難しい。今のままじゃその文弥くんて子が虐待だと認めない限り、警察もこれ以上動けない」

久遠「伊達さんもあいつらと一緒かよ」

(伊達、久遠のシャツの胸ポケットに自分の携帯を入れて立ち去る)

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(バーmikami。伊達にファイルを差し出す三上)

三上「小僧の経歴だ。あいつ、4歳のときにおふくろを亡くしてから10歳までの間、ずっと親父から虐待を受けてたんだ」

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<15年前>

(夏の暑い部屋。クレヨンで無心に海の絵を描いている幼い久遠)

久遠の父「おい、酒買ってこい」

久遠「え…お金…ないけど…」

久遠の父「なけりゃ作ってくりゃいいだろ!」

(久遠を突き飛ばし、引き出しからカメオのブローチを取り出して放り投げる)

久遠の父「ほら!これ売って買ってこい!」

久遠「これ母さんの形見…」

久遠の父「いいから買ってこいよっ!」

(久遠の父、息子の顔めがけてカップ酒の空き瓶を投げつける)

久遠「あっ…」

(左目の上にもろに当たって血が流れる。背中には生々しい紫色の火傷痕が覗いている)
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(久遠部屋。引き出しの中からカメオのブローチと、ブローチが入っていた封筒を取り出す久遠。封筒には介護老人ホームの名前と住所が印刷されている。ブローチと封筒の住所を見つめたあと、伊達から借りた携帯を手に取る久遠)

(文弥の家。久遠から預かった携帯がメール着信を告げる。携帯を開く文弥)

久遠からのメール『俺、親に虐待されてたんだ くどう』

(驚く文弥)

久遠からのメール『学校の奴らにはバレたくなかった。だからいつもヘラヘラしてた くどう』

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(メール着信音。携帯を開く久遠。覗き込む伊達)

久遠「(嬉しそうに)文弥からの初メール」

文弥のメール『気持ち、わかる。 ふみや』

伊達「何の話?」

久遠「内緒~」

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あすか「これ、捜査資料まとめたものです」

冴子「ありがとう」

あすか「でも1ページなかったんです。…あの、井筒課長が容疑者だったって本当ですか?」

冴子「ん…5年前、井筒課長が使ってた情報屋が殺されてね」

あすか「はい」

冴子「その前日に井筒課長がその男と口論していたところを目撃されているの。その情報屋と井筒課長との関係を夏樹が単独で洗ってたら、一週間後に…」

あすか「それが容疑をかけられた理由ですか?」

冴子「2人とも同じナイフで殺されていた。しかも井筒課長がやったっていうタレコミまであって。でも物証は出てこなかった。課長も知らないの一点張り。…実はね、課長を取り調べたのは伊達なのよ。でも取調べは形式だけで、すぐに井筒課長の容疑は晴れた」

あすか「どうして」

冴子「アリバイがあったのよ。あの日、井筒課長は伊達と一緒に別の事件を追ってたの。川崎のコンビニ強盗殺人」

あすか「じゃあ井筒課長じゃないんですね」

冴子「そのアリバイが本当だったらね」

(表情が硬くなるあすか)

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(昼間は文弥の虐待について捜査しているため、青葉町連続強盗事件について捜査状況を追うために一人残業している伊達。井筒が帰りしなに伊達に声をかける)

井筒「妙なことと言えば、宮城が兄貴の事件を調べてる」

伊達「(どうとでも取れる表情で)そうですか」

井筒「…ま、心配するこたぁないか。お疲れチャン」

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(久遠と文弥、河原でキャッチボールをした後)

久遠「このまま誰にも言わないつもり?身体の傷のこと」

文弥「僕は何もされてない」

久遠「憎くないの?親父のこと。俺は許せなかった」

文弥「お父さんは悪くない。悪くないんだ」

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(久遠部屋)

あすか「久遠さんって過去引きずったりしますか?」

久遠「何、突然」

あすか「いや、私は全然切り離せなくって。今でも亡くなった兄のこと探してる気がします」

久遠「別にいいじゃん、それで。てか過去と向き合ってるだけ立派じゃね?俺なんか振り返りたくもないし」

(あすか、久遠の机の上のカメオと封筒に気づく)

久遠「あ、これ?(封筒を手にして)親父がここにいるんだよ、俺を捨てた。10歳のときだったから、もう15年会ってない。んで2年前にこれが届いて、ここにいること知った」

あすか「介護施設?」

久遠「うん(封筒を捻ってゴミ箱へ捨てる)ま、もう会うこともないだろうけどね」

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来栖「吉永文弥の虐待について調べてんのか。あのなあ、俺達が追わなきゃいけねえのは同じ青葉町でも窃盗団の方なんだよ」

伊達「は、はぃ」

来栖「勝手な真似すんじゃねえ」

伊達「はぃ、すみません…」

来栖「ああああ、ウザイ、ウザイ、ウザイ、…はーっ、ウザっっ!」

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(廊下で冴子と出くわす来栖)

来栖「おい、ここは部外者立ち入り禁止だぞ」

冴子「まあまあ、すぐ済むから」

来栖「ダメだ」

冴子「チッ。だったらこれ伊達に渡しといて」

(冴子、資料を来栖の鼻先に押し付けて帰っていく)

来栖「なんだ、あの女」

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<15年前>

(夏の暑い部屋。クレヨンで描いた海の絵。父親はいない。10歳の久遠がフラフラと立ち上がり、水道の蛇口に口を付ける。しかし水は出てこない。そのまま倒れこむ久遠)

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(文弥が死んだのは自殺で学校でのイジメが原因のように話す文弥の父親に久遠が殴りかかる)

久遠「何嘘ついてんだよ!全部てめえのせいだろ!」

(騒然とする現場。久遠を取り押さえる来栖・堀田・轟)

久遠「おまえが殺したんだろ、おまえが文弥を!」

(久遠の感情の爆発を静かに見つめる伊達)

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(堀田と轟に連れられて現場から出てくる久遠。そこにまおが現れる)

まお「嘘つき!」

(涙を溜めて久遠を睨みつけるまお)

まお「守ってくれるって言ったじゃない!嘘つき…!嘘つき!」

(泣きながら久遠の胸元を叩くまお。硬い表情で見下ろす久遠。痛まし気に見つめるあすかと伊達)

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(見張り付きで取調室に軟禁されている久遠。伊達が入ってきて見張りを代わると申し出る)

久遠「伊達さん…」

伊達「ばかやろう」

(伊達を見つめる久遠)

伊達「自殺の線で固まりそうだ」

久遠「ちょっと待ってよ。明日巨人戦観に行こうって約束してたんだよ?自殺なんかするわけねえだろ?」

伊達「そのあと心変わりしたのかもしれない。それはメールじゃ判断できない。それと父親の虐待を立証するのも難しいそうだ。転落の損傷が激しくて虐待の痕を確認出来ないらしい。君も知ってる通り、新しい傷が古い傷痕を消してしまうことはよくある」

久遠「俺見たんだって!文弥の身体には確かに痣があったんだよ!」

伊達「だとしてもそれが虐待の痕だと証明するのは難しい」

久遠「じゃあ…あの親父は法では裁けないってこと?」

(なぜか取調室の机に設置してあるカメラが作動していて、マジックミラーの向こうにある小部屋のモニターには久遠の顔が映っている)

久遠「頼む、伊達さん。裁いてくれ」

伊達「父親が文弥くんを虐待していたということも、彼を殺害したということも、何の確証も得られていないんだ。動くことは出来ない」

久遠「何でだよ!俺には判んだよ!あいつがやったんだって!あいつが文弥を殺したんだよ!文弥は間違いなく前を向こうとしてた。変わろうとしてたんだって!」

伊達「憶測で人を裁けばそれはただの犯罪者だ。君が憎んできた奴らと何も変わらない」

(久遠、泣きそうな表情を浮かべる)

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(右利きの文弥がベランダの手摺を乗り越えるのに左足を上げていたことに対して)

伊達「もちろんこれが証拠になるとは思っていません。ですが私に取っては十分過ぎる違和感です」

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(取調室に軟禁中の久遠。見張りはなぜか井筒)

久遠「なんで課長が俺の見張りなんすか?」

井筒「だってみんな忙しいんだもん。しょうがねえじゃん」

(井筒立ち上がる)

久遠「どこ行くんすか?」

井筒「ん?(タバコを吸う真似をしながら)トイレ。あ、おまえさあ、逃げんなよ?な、逃げんなよ」

(取調室から出て行く井筒)

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(文弥の転落現場にいる伊達。そこに窃盗事件を捜査中のあすかが現れる。あすか、少し躊躇ったあとに思い切って口を開く)

あすか「あの、5年前の兄の事件なんですけど。伊達さんが井筒課長を取り調べたって聞きました。井筒課長の犯行は本当に不可能だったんでしょうか」

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(窃盗団を逮捕し捜査一課に戻ってきた伊達。そこには久遠を見張っていたはずの井筒がいた)

井筒「あーご苦労さん」

伊達「課長…久遠を見ててくれたんじゃ…」

井筒「あ?ああ。ちょっと目を離した隙にさあ、どっか行っちゃった」

伊達「え…」

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(文弥の父・広之がパブから出てきたところをつける久遠。人気がなくなったところで広之を背後から蹴り飛ばす)

広之「おまえ…!」

(広之に銃口を突きつける久遠)

久遠「おまえが文弥を突き落としたんだろう?」

広之「何だよ…」

久遠「おまえが殺したんだろ?」

広之「…頼む…撃つなよ…な…撃たないでくれ、頼むよ…」

(広之の顔面を蹴り飛ばして気絶させる久遠)

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(埠頭に走りこむ久遠の車。待っていたのは三上)

三上「伊達はどうした?」

久遠「………」

三上「どうした?と聞いてる」

久遠「後から来るよ」

三上「おまえの独断か」

久遠「この男を始末して欲しい」

(車の後部には気を失っている広之が)  

三上「ハンパなことしやがって。誰なんだこいつは」

久遠「虐待で息子を殺した父親だよ」

三上「確証は?」

(伊達が現れる)

伊達「確証はありません」

久遠「伊達さん」

三上「だからこんな小僧は入れるなと言ったんだ」

久遠「こいつがやったんだよ!こいつが文弥を散々殴って蹴った挙げ句に、人形みたいに殺したんだよ!どんな仕打ちを受けてても文弥は虐待されてるとは言わなかった。何でだと思う?」

(久遠を見つめる三上と伊達)

久遠「親だからだよ。文弥は僅かな望みに掛けてたんだよ。こんな奴でも信じてたんだよ。いつか…いつか分かってくれるって。なのにこいつは改心するどころか文弥の命を奪った。許せるわけねえだろ!」

(伊達、静かに久遠を見る)

久遠「終身刑が出来ないなら、俺が殺してやる」

(広之に銃口を向ける久遠)

三上「久遠!…おまえガキの虐待を自分の復讐にしようとしてんじゃねえのか!」

(伊達の携帯が鳴る)

伊達「宮城くんからだ(電話に出る)はい」

あすか「文弥くんが殺されたって証言が取れました。例の窃盗団の一人が見ていたんです。窃盗の犯行がバレるのを恐れて黙っていたそうです」

(伊達、電話を切る)

伊達「吉永が文弥くんを殺害したところを目撃した人間がいたそうだ。…これで吉永を逮捕できる」

久遠「駄目だよ」

伊達「久遠」

久遠「パクってムショに入れたところでいつかは出てくる。人殺してんのに。あんな酷い仕打ちしてんのに。こんなクズいなくなったほうがいいんだよ」

伊達「それは君が決めることじゃない。法で裁ける人間は法で償わせるんだ。俺達がやってるのは復讐じゃない」

(伊達、携帯を操作して文弥の最後のメールを開く)

伊達「文弥くんが君に出した最後のメールだ。”巨人戦楽しみにしてる”その下にもう一文残してた。”勇気をくれて、ありがとう”。文弥くんは抜けだそうとしてたんだ。ただ耐えるだけの日々から。今度は君が抜け出すんだ。君が闇に葬るのはその男じゃない。過去の自分だ!」

(久遠、目に涙を溜めて銃口の先の広之を見る。久遠の中で様々な感情が葛藤する)

久遠「うあぁぁぁぁっ!」

三上「久遠っ!撃つな!」

(発砲音。弾丸は広之ではなく海に消えた。久遠の目から流れ落ちる涙。安堵する三上)

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(取調室)

広之「…私がやりました…すいませんでした…」

(マジックミラーの向こうで見ている伊達と久遠。自白を聞いて久遠は無言で小部屋を出て行く)

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(カメオのブローチが送られてきた封筒を頼りに、父親がいる介護老人施設を訪れる久遠)

介護士「久遠さん、絵、上手なんですね」

(その声の先には、寝間着を着て車椅子に乗った久遠の父が、クレヨンで何かを描いている姿があった)

介護士「久遠さん海が好きなんですか?」

久遠の父「一度だけ2人で見に行ったことがあるんです。”あいつ”はいっつもこの海描いてた」

(久遠の父が描いていたのは、幼い久遠が描いていたのと全く同じ構図の海の絵だった)

久遠「(ごくりと唾を飲む)”あいつ”って?」

(久遠の声にゆっくりと顔を上げる父親、見つめあう父子。父親が柔らかい表情を見せる)

久遠の父「あなたは…どなたですか?」

(久遠の目が悲しみに潤む。久遠を知らない人間だと理解した父親はまた絵を描き始める。その父の手にカメオのブローチをしっかりと握らせる久遠)

久遠「大事にしろよ。じゃあな」

(久遠、立ち去る。父親はカメオのブローチを見て何かに気づき久遠を視線で追うが、久遠は振り返らずに去っていく)

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(久遠部屋。元気のない久遠。そこにあすかがやってくる)

久遠「伊達さんならいないよ」

あすか「知ってます」

(あすか、久遠の隣に椅子を置いてそこに座る)

久遠「何?」

あすか「落ち込んでる時、誰かにいてもらうとホッとするんです。何も言わないでただそばにいてくれるだけで」

(久遠、あすかが何のために来たか理解する)

久遠「伊達さんに何か言われた?」

(あすか、無言の否定)

久遠「…サンキュ」

(あすか、頷く)

久遠「ちゅーしていい?」

あすか「(間髪置かず)だめ」

(いつものノリに戻って2人笑顔を浮かべる)

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(冴子、夜に捜査一課にいくと来栖だけが残っている)

冴子「チッ」

来栖「だからあ!」

冴子「部外者は入るな!でしょ?ちゃあんと伊達に資料渡してくれた?」

来栖「渡したよ!けど、何で今更5年前のコンビニ強盗殺人なんて。あんなにすぐ解決した事件…」

冴子「知ってんの?」

来栖「ああ。俺も所轄の署員として関わったんだ。本部の一課だった伊達と一緒に」

冴子「あなたが伊達と組んでたの?」

来栖「ああ」

冴子「あの事件の日、夏樹は殺された…。伊達と井筒課長とどこ捜査したか覚えてる?」

来栖「課長が俺達と一緒に捜査したことなんて一度もねえよ」

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<5年前>

(県警本部の応接室)

三上「どうして井筒をかばった?」

伊達「井筒課長はやっていません。なのにまるで警察全体が課長を犯人に仕立て上げているように思えたので」

三上「だから井筒のアリバイを偽ったのか?」

伊達「………」

三上「宮城夏樹の捜査が打ち切りになった。井筒が疑われたように警察内部にホシがいるのは確かだ。だったら不祥事になる前にもみ消そうってのが上の考えだ」

伊達「納得できません」

三上「未解決事件にさせたくない気持ちは俺も一緒だ。おまえと意見が違う点は一つだけ。俺は…井筒がホンボシだと思ってる」

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三上「あすかちゃんが夏樹の事件追ってるとはなあ。冴子ちゃんの入れ知恵か」

(靴音を立てて客が入ってくる)

三上「いらっしゃ…」

(客の姿を見て三上と伊達の表情が固まる)

井筒「…よお」

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