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2010年8月17日火曜日

第五話:感想

この脚本家は3話づつ区切って仕上げてるのだろうか?
第一話と第四話は力を入れて作っているのがわかる台本、第二話と第五話は練りきれてない台本、第三話は役者の力がものを言うエモーショナルな台本、と順に回っているようにみえる。
今回の第五話の脚本は第二話同様、3話ローテーションの中では最も構成が甘い回で、美人局のくだりも不要だった。
このタイプの回は視聴者離れを引き起こす可能性がある。
ジョーカーには既に固定視聴者が付いているようだが、第三話が第二話よりも下げたように、次の第六話の視聴率も第五話より若干下がるかもしれない。

第五話においては、伊達たち闇の制裁人が「どのような人間を制裁の対象にするか」という点で、これまでとは違う判断をしていることが気になった。
伊達たちはこれまでも「法の裁きを逃れた者」が制裁の対象だと話している。また今回は三上が「自分たちが裁くのは最後の最後。とことん警察が追ってそれでも駄目だったときに動く」とも述べている。
それらと同時に、伊達たちには「自分たちが与える制裁の重さが、本来受けるべき法の裁きの重さと比べても”妥当”と思われる者」というルールもあるはずだ。

伊達たちの制裁は「一生あるところに閉じ込めて社会には出さない」というもので「おまえに明日は来ない」と宣言していることからも制裁の重さが伺える。
法の裁きで与えられる量刑に例えても「仮釈放なしの無期刑」という非常に重いものだ。
伊達たちが与える制裁は現在のところ一種類しか示唆されていない。
例え相手が性悪で腹のたつ人間であっても、そもそもの法の裁きが有期刑のレベルの犯罪者を、自分たちの勝手な判断で過剰制裁に科してしまったら、伊達たちはただの義賊気取りの狂った犯罪者でしかなくなってしまう。

これまでの犯罪者が第四話を除き、立件されれば多少なりとも死刑や無期刑の可能性があったのに対し、今回の女弁護士はドラマで明らかになっている範囲では死刑や無期刑の可能性はまずない。

弁護士として、満足する報酬を払ってくれる依頼人の仕事を引き受け、依頼人の希望に沿うよう全力を尽くす。それ自体には全く問題はない。
裁判官や検察官と違って弁護士というのは依頼人の味方をするのが仕事である。依頼人の希望(無罪や減刑)を勝ちとるために働いて、それによって報酬を得る商売なのだ。それで高額の報酬を得ようと外野がとやかく批判するものではない。
多額の報酬を得る仕事をしている=悪徳ではないのだ。

では氷川が行っていたことが何にも抵触しないのか?と言われればそうでもない。
弁護士は弁護士法によって「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することが使命である」と明確に規定されている。
本来弁護士は依頼の目的が社会正義に照らして不当であると判断される場合にはその依頼を受けてはならないのだ。
椎名が心神喪失でないことを承知の上で依頼を受けたと証明されれば、弁護士としての姿勢に反したとして、弁護士会より懲戒処分を受ける可能性はある。

また、美人局を使って幸田を嵌めたことについても、氷川の指示であることが立証出来れば、美人局の主犯格として有罪判決を受ける可能性が高い。
しかし執行猶予期間中の柿原沙世をあっさり切ったところを見ると、柿原が逆上して洗いざらい証言したとしても、共犯の立証は難しいレベルなのだろう。

フリーのルポライターに事実に反するネタを流した件についても、記事が与えた損害をネタの提供者に求めることは難しい。
自分でネットに書き込むなりしたのならともかく、この場合は何の事実確認もせず掲載した(もしくは確信犯で掲載した)編集人や発行人、ルポライターに責任がある。
幸田への自殺教唆も、この記事を出されたら奥さんが傷つきますよ、鑑定書の捏造なんて私は知りません、手は汚したくありません、だけでは自殺教唆としての立件は難しい。

ドラマ中であすかが「法を悪用して相手を陥れるってある意味完全犯罪ですよね。法じゃ裁けないってことですから」と言っているが、残念ながらあすかは根本的に間違っている。
「法を悪用する」ことと「法に触れない」ことは全く異なることなのだ。
氷川がやっていることは法律の知識を活かした「法に触れない」ことであって、法に触れないことであれば法で裁けないのは当然である。

氷川は社会正義の実現のためでなく私利私欲のために働く性質の悪い弁護士だったし、自分の利益のためなら手段を選ばない悪徳弁護士でもあった。
しかし凶悪犯罪の実行犯などではない。横浜連続殺人事件でも犯行に及んだのは椎名であって氷川は共犯ですらない。
幸田の精神鑑定捏造を暗に指示したにせよ、法廷での審理は正常に行われており、当然検察の証拠調べなどの課程も経ている。その上で氷川は無罪の判決を勝ち取っているのだ。鑑定書の捏造にも気づかず、心神喪失でないことも見破れず、控訴すらしなかった検察のほうがよほど問題である。
ちなみに実際に心神喪失で無罪判決が出るケースはまずない。精神鑑定を演技で切り抜け続けるのは不可能と言っていい。

氷川のような弁護士は弁護士の風上にも置けない人間だが、犯罪者としてはせいぜいが「有期刑+懲戒+社会からの冷たい目」くらいの犯罪者である。
盗聴テープを動画サイトにでもアップして悪事を世間に知らしめるだけで社会的信用は地に落ちる。権力からは見捨てられ、あらゆる人間から罵倒されて、屈辱に歯ぎしりをする氷川を見るだけでも充分カタルシスが得られただろう。

しかし伊達たちは氷川に従来の重い闇の制裁を与えた。そこに法の根拠はない。
椎名の判決は覆らないにせよ、幸田の遺書を公表することで氷川の悪事を陽のもとに晒すことだって出来たのに、伊達たちはそれもしていない。ただ自分の正義感をものさしにして、勝手に他人の罪の重さを決めて、私刑を行っただけだ。
もしそれを行ったのが正義に耽溺する久遠であれば納得がいく。
しかし伊達はそうではない。

たとえ自分が与える制裁の重さが法の裁きで与えられるべき刑の重さより軽くても、相手がどんなに最低な人間であっても、それでも伊達は、「闇の制裁という私刑は決して許されることではない」と言うだろう。
その上で、その許されないことをしなければならないことを、とても哀しいことだと伊達は感じている。そして、こんな哀しいことをするのは自分一人でよかったのだと思っている。

今回も伊達は最後の最後まで氷川の良心を信じようとしていた。捜査一課全員に徹夜で協力してもらって幸田を保護しようと努力していた。幸田の口から真実が語られること、それが氷川の悪事が裁かれるための本来の道筋であることを伊達は承知していた。
脚本上でそれだけの積み重ねをしていたにも関わらず、氷川を闇の制裁にかけてしまった時点で、伊達の苦悩が非常に安っぽいものになってしまった。

別に毎回制裁を行わなくても氷川を敵キャラとして生かしておく手もあった。もしくは闇の制裁ではない制裁方法をとっても良かった。
伊達が闇の制裁の何を哀しいと思っているのか。それがこのドラマの最大の肝のはずだ。
その説得力を不用意に揺るがすようなことは避けたほうがいいだろう。

ゲストに関しては鈴木砂羽、小須田康人、丸山智己がいい演技をしていた。

鈴木砂羽が演じた氷川成美弁護士は、頭がよくて、美人で、高慢ちきで、人を見下していて、金と権力が大好きだ。
法に触れるようなヘマはしないと言い放つ自信満々な熟女だが、視線をしっかり合わせて正面から斬り込んでくる伊達の前では、だんだん言わなくてもいいようなことまで話し始めてしまうのが興味深かった。

おそらく氷川は無意識のうちに伊達に惹かれ始めていたのだろう。それを予感させるのでなければ、敏腕弁護士が手の内を話し始めるのは不自然だ。
しかしその氷川の心を伊達が感じ取るくらいに判りやすく演じたら、いつもの制裁のように氷川を撃つ伊達に視聴者は違和感を感じただろう。
鋭い伊達がそれを感じ取らない程度に、もし感じ取っていたとしても制裁の邪魔にならない程度に、でも画面を通して視聴者にはそれがうっすらと滲むように演じた鈴木の演技力は大したものだ。
堺との相性もよさそうなので準レギュラーとしてもう少し残しておいてもよかったのに残念だ。

ゲストでは幸田弘道役の小須田康人も非常によかった。
自殺まで追い込まれる前に、誰かに助けを求めるチャンスも妻と一緒に頑張るチャンスもあったのに、氷川に押されるままに追い詰められてしまった幸田の性格を、小須田は少ないカットで繊細に表現していた。
真面目で、打たれ弱く、争いごとを続けるのが苦手で、優しくて、息子を亡くした後はまるで腫れ物にでも触るようにそっと大事に妻に接してきただろう背景が、小須田の演技により伝わってきた。
最も素晴らしかったのは最期の写真に写った幸田の悔いのない笑顔だ。百のセリフより一瞬の演技。写真一枚で泣かせてくれる役者も久しぶりだと感動した。

対して些か期待はずれだったのは幸田京香役の春木みさよだ。
最後の涙を流すシーンは良かったが、演技力そのものが鈴木や小須田に比べて足りない。役柄を掘り下げている様子もなく、チョイ役を演じるようにさらりと流してしまっていたのも残念だ。
良くも悪くもこのドラマは役者の演技力に左右される。脚本や演出でカバーしきれない役柄の細やかな感情や背景を、役者が役を掘り下げることで補完しているのだ。だからこそ視聴者は飽きることなく1時間を楽しむことが出来る。
たとえセリフがなくても、見切れていても、役名すらない俳優でも、映画のように丁寧に演じているところがこのドラマの最大の良さだ。
雰囲気はある女優なので次の機会に期待したい。

今回初登場の宮城夏樹役の丸山智己は、杏演じる宮城あすかと兄妹だということが無理なくわかる演技で大変面白く見れた。
あすかを夏樹が真似ているのではなく、あすかが兄夏樹に影響されて似ているのだと、ちゃんと思えるところが素晴らしい。
あすかよりも更に熱血で、身体も声もデカくて暑苦しく、裏表がなくて男気があって、優しい。あすかたち家族に心から愛されていた夏樹の姿がそこにあった。「こんな兄貴が殺されたんなら、そりゃあ悲しくてたまんないよな」と素直に思える夏樹像だった。

「ジョーカーのストーリーライン」については夏樹の登場で大きく展開した。
ナイフの刃先を上に向け、左上腹部から肋骨の下にえぐり込むような殺し方は明らかに素人の殺し方ではない。膝の後ろを蹴って体勢を崩すのも体術の基本技だ。夏樹を殺した犯人は明らかに訓練された人物である。
夏樹が犯人を「あなた」と呼んでいることからも伊達たち同僚ではなく目上の者だということがわかる。

しかし夏樹を殺したのは井筒ではないだろう。
井筒が使っていた情報屋のチンピラも夏樹と同じように左上腹部を一突きされていた。おそらく情報屋殺害も夏樹殺害も同一犯による犯行だ。
井筒がラストに言っていた「余計なことを嗅ぎ回ると消される」の言葉通り、情報屋も夏樹もそのせいで殺されたのだと思われる。井筒は夏樹に関わるなという合図を出していたが、結局は夏樹を守れなかったということだろう。そして今度は冴子が危険であることを伊達に伝えている。
椎名が神隠しに合う可能性があると冴子に聞いた後、冴子の前から消えたのも、伊達たちを守るために消えたのかもしれない。

伊達、久遠、あすかの間にも微妙な変化が現れてきている。
伊達の前ではチャラ男の仮面の下の本来の姿を見せるようになってきた久遠だが、あすかの前でも仮面の下の素顔を覗かせるようになってきている。
それは久遠に取っては良いことで、これからだんだんと他の人の前でも本当の自分が出せるようになってくるのかもしれない。

遺体安置室の前で伊達を待つ久遠とあすかは、疲れて傷付いた顔をしていた。
伊達がそこにやってきたとき、2人の表情に伊達を頼りに思う感情が現れていたが、久遠とあすかの表情は異なっていた。
あすかは信頼する上司を見つめる刑事としての顔、久遠は年の離れた兄にすがるような顔だ。
早く一人前になりたいと言っていたあすかは、一人前の刑事としての道を歩んでいる。信頼出来る人が欲しかった久遠は誰かに助けを求めるということを覚えた。
夏樹の事件やこれから起こる事件が、久遠やあすかにどんな影響を与えるのかわからないが、悩んで苦しみながらも成長していくだろう2人を楽しみにしたいと思う。


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フジテレビ・オン・デマンド「ジョーカー許されざる捜査官」
一話315円、全話1575円

2010年8月16日月曜日

第五話:伏線?セリフ集

 
井筒「謹慎明けてよかったな」

伊達「ご迷惑おかけしました」

井筒「おまえの尻拭いには慣れてる」

伊達「はは…」

(伊達とあすか、廊下を歩きながら)

あすか「伊達さんと課長って長いんですか?」

伊達「昔はあんなに気安く離せなかったけどね」

あすか「怖かったんですか?」

伊達「ま、君の兄さんはそうでもなかったみたいよ」

あすか「そうなんですか?」

***********************************************************

<5年前>

伊達「まさか君と同じ班になるとはねえ」

冴子「まあどこにいてもやることは変わんないけどねえ。…被疑者は逃走中か。面倒なヤマになりそうだね」

(井筒が部屋に入ってくる)

井筒「簡単な事件なんて一つもないぞ。まだ来ないのかもう一人は!」

(夏樹、廊下を小走りに走る)

夏樹「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ…」

(居住まいを正し捜査一課のドアを開け)

夏樹「遅れて申し訳ありません!(井筒の机の前まできて)今日から強行犯係4班に配属されました宮城夏樹です。よろしくお願いします!」

井筒「異動初日から遅刻とはいい度胸してるな」

夏樹「この借りは捜査で返します」

伊達「まだこれから捜査会議だよ」

夏樹「伊達!冴子も!なんだおまえらと一緒かよ!」

冴子「今気づいたの?」

夏樹「なんか楽しくなりそうだなあ。よろしくな!」

井筒「勝手に盛り上がってんじゃないよ」

夏樹「すいません」

***********************************************************

(あすかが運転するパトカーから口元を押さえて出てくる伊達)

伊達「おえっ…ぷ」

あすか「そんなに私の運転荒いですかぁ?」

伊達「気にしないで僕の三半規管のせいだから」

***********************************************************

冴子「課長」

井筒「あ」

冴子「課長が帰られたあの晩、椎名は姿を消しました」

井筒「何だよ、まだ疑ってんのか。結婚記念日でレストランを予約してたから抜けただけだよ」

冴子「もういいですよ。今日は宣戦布告に来たんです」

井筒「…そいつは穏やかじゃないね」

冴子「私、本格的に追いかけることにしましたから」

井筒「神隠しか?」

冴子「もう神様の仕業にしておくわけにはいきません」

井筒「…だったら誰の仕業だって言うんだい」

***********************************************************

(ロックされた金庫を前に)

あすか「伊達さんが開けるんですか?」

伊達「(上着を脱ぎながら)昔バイトで」

(耳を金庫に押し当てて真剣な表情でダイヤルを回し、上体を起こして神妙な顔であすかの顔をみる)

あすか「開いたんですか?」

伊達「無理でした」

あすか「…ですよね」

(しばらく後。金庫に聴診器を当ててダイヤルを回す久遠)

久遠「あのねえ。オレ鍵屋さんじゃないんだよ?」

伊達「知ってるよ。鍵も開けられるイケてる鑑識員でしょ?」

久遠「あすかちゃんとデート出来るって約束がなければ引き受けないんだよ、こんなこと」

あすか「そんな約束してませんから」

久遠「あれ、そうだっけ」

(久遠、鍵を開ける)

あすか「開いた」

久遠「(あすかに向かって)じゃどこいく」

(あすかと伊達、久遠を無言で押しのけ、金庫の中身を見る)

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久遠「柿原沙世に前科があったんだ」

伊達「5年前に婚約者を殺害?」

久遠「でも正当防衛で執行猶予が付いてる。しかも担当弁護士が氷川成美。柿原は利用されたのかもね。あの女弁護士に。そして幸田さんも。…早く見つけ出さないと真実が埋もれちゃう」

(伊達の目が厳しくなる)

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冴子「ごめんね、呼び出して」

あすか「あ、いえ。あの、伊達さんに内緒の話って」

(冴子、書類封筒をあすかに差し出す)

あすか「なんですか、これ?」

冴子「まだ世の中に流れてない原稿。ギブアンドテイク。ここからが本題。その封筒の見返りに夏樹の事件を一緒に調べて欲しいの」

あすか「どうして…?」

冴子「夏樹が殺された頃から神隠しが始まってる。5年前、夏樹はある事件に巻き込まれたんだ。夏樹の事件に神隠しに辿りつくヒントが隠されてるかもしれない。あなたも知りたいんでしょ?…誰が夏樹の命を奪ったのか」

***********************************************************

<5年前>

(チンピラの他殺体が海岸に打ち上げられる。現場に到着する伊達、冴子、夏樹。井筒は一足先に遺体の見分を始めている)

夏樹「こいつ、井筒さんにネタ流してた情報屋だ」

冴子「え?」

夏樹「井筒さん、こいつ…」

井筒「(夏樹を無視して)どこの組のもんだ?早く身元割り出せ」

(井筒立ち去る)

冴子「なんだ、知らないじゃん」

夏樹「違う。バレたくないんだよ。このヤマ、ただのチンピラの喧嘩じゃないかもな」

伊達「宮城、おまえ俺達に何か隠してるんだろう」

夏樹「何だよ急に」

伊達「どこでガイシャの素性を知った?」

夏樹「おまえは関わるな。おまえに何かあったら冴子が悲しむ。…付き合ってんだろ?おまえら?(伊達と冴子、顔を見合わす)…はは、わかりやすいんだよ、おまえら」

(夏樹、立ち去る)

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三上「あの氷川って女弁護士、どうするつもりだ?」

久遠「人権派とか言ってるけど実際は相当腹黒いよ?金になりそうな被告人ばっか選んでるって話だし。椎名の事件も親が資産家だから裏で大金が動いてたらしい。その資金を利用して近く政界にも進出するって噂もある。暴力団とかブラックな連中とも繋がってるみたい」

三上「裏社会の権力者同士が手を組むほど厄介なものはねえ。法で裁けるのか?」

伊達「このままじゃ無理ですねえ。幸田さんに会えれば氷川から脅されていた事実を知ることが出来るのですが」

久遠「もう面倒臭いからやっちゃおうよ」

三上「小僧、まだわかってねえのか!俺達が裁くのは最後の最後だ。とことん警察が追ってそれでも駄目だったときに動くんだよ!」

久遠「わかってるよ。冗談だって!」

三上「ふん!(久遠を殴るふりをする)あ、ビビってんの」

久遠「(小声で)ビビってねえよ」

三上「マジビビったろ今」

久遠「(更に小声で)ビビんねえよ」

伊達「ひとつ気になるのは奥さんの言葉だ。あの写真が流出するくらいなら鑑定の捏造なんてしない。だとしたら幸田さんは何を守ろうとしていたんだ?」

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あすか「幸田さんが三浦海岸の公衆電話から電話を掛けていたことがわかりました」

井筒「よし。宮城は幸田の妻にゆかりのある場所を聞き出せ」

あすか「はい」

井筒「他の者は現場に直行しろ。何かあったら逐一連絡するように」

捜査一課一同「はい」

伊達「すみません。自分の我儘にみんなを付き合わせてしまって」

(来栖、伊達に振り返って)

来栖「勘違いすんじゃねえ。別におまえのためじゃねえよ」

(来栖、立ち去る)

井筒「幸田を見つければ無差別殺人事件の全貌も明らかになる。いいか、必ず助けろ」

伊達「はい」

(廊下で久遠から声を掛けられる)

久遠「伊達さん!これ三浦の公衆電話の通話記録なんだけど面白いことがわかったよ」

***********************************************************

伊達「最後にひとつだけ聞かせてください。あなたにとって法とはなんですか?」

氷川「…くだらない」

(最後まで伊達を見据えたままゆっくりとドアを閉じる氷川)

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(救急車の中、死亡した幸田を前にする来栖と久遠)

来栖「…こんな結末ってありかよ」

(久遠、呆然と幸田の遺体を見つめる)

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(安置室の前で暗い表情で伊達を待っていたあすかと久遠。安置室には幸田の遺体と幸田の妻の姿が。幸田の妻が伊達に向かって深々と頭を下げる)

(夕日の差し込む久遠部屋。安置室から戻って来たあすかと久遠。壁に寄りかかって腕を組むあすかと、疲れたようにソファに深く座って俯く久遠)

久遠「…ご迷惑をお掛けしましただって。泣きつかれたり殴られたりするよりよっぽど堪えるよ」

(辛い心情を素直に口に出す久遠に、あすかは穏やかな口調で)

あすか「久遠さん。…なんか雰囲気…変わりましたね」

久遠「(ゆっくりとあすかを見上げる)…あ。もしかして惚れちゃった?」

あすか「(お約束の答えを言うように)違います」

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(氷川の事務所。急に電気が消える)

氷川「誰?」

(伊達と久遠が現れる)

伊達「おまえが幸田さんを自殺に追い込んだんだな」

氷川「だったら何?死人に口なしって言葉知らないの?私の言動は法に触れていない。法を冒さなくても人は殺せるのよ。あなたを社会的に抹殺することだって容易いのよ。法律はね、弱者を救うためにあるんじゃないの。そんなの幻想でしかない。もともと選ばれた人間のためにあるの。権力を持つものだけが得をするように作られてるのよ。あなたもわかるでしょう?権力側の人間だもの。ははは。利用出来ない人間が馬鹿なのよ!」

(伊達、銃口を氷川に向ける)

氷川「は。何?私を撃つつもり?」

伊達「法の裁きを逃れてもおまえの罪は消えない」

氷川「カッコつけないでよ。こんなことしてただで済むと思ってるの!」

伊達「おまえにあしたは来ない」

(伊達、引き金を引く。麻酔弾が氷川に当たり氷川が椅子に崩れ落ちる。背後から歩いてきた久遠、伊達の表情を見て少し怒ったように)

久遠「また悲しい顔して。こんなやつのための伊達さんが傷つくことないよ」

伊達「…運ぼう」

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幸田の妻「色々ご迷惑をおかけしました」

伊達「いえ。…そうだ」

(伊達、幸田の遺品のライカM7を取り出す)

幸田の妻「これは…」

伊達「幸田さんのカメラです。傍らに置いてあったそうです。一枚だけ撮られてましたよ。余計なお世話だと思ったんですが」

(伊達、幸田の妻に写真を渡す。そこには最後に自分で自分を撮った幸田の満足そうな笑顔があった)

幸田の妻「(泣きながら)写真映り悪いんだから…」

伊達「でもいい笑顔です」

幸田の妻「どうして…私なんかのために…どうして…」

伊達「あなただからですよ。あなただからご主人は命に変えて守ったんです」

***********************************************************

(伊達が署の廊下を歩いていると井筒が出てきて)

井筒「妙なことに首突っ込むと消されちまうのは、どの世界でも一緒らしい。ああそうそう。片桐が神隠しを追っているらしい。あいつも余計なマネしなきゃいいけどなあ」

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(夏樹が殺された現場に花を手向ける冴子)

冴子「…絶対犯人見つけるから」

<5年前>

(未明に一人で路地を歩く夏樹。物陰に潜んでいた男が持っていたサバイバルナイフの歯をクルリと上に向け、路上に飛び出し夏樹を襲う。相手の手首を掴み防戦する夏樹。男は夏樹の膝の後ろを蹴り上げ体勢を崩させて、夏樹の正面に回り込み夏樹の上腹部を刺す。苦痛の声を上げる夏樹。刺されながらも犯人の顔を見ようと顔をよじる。犯人の顔を見て驚く夏樹)

夏樹「…どうして…あなたが…」

(犯人、トドメを刺すように深く突き刺したナイフを更に上に持ち上げてえぐる。崩折れる夏樹)

***********************************************************

(深夜一人で夏樹殺害事件の報告書をめくるあすか。報告書の考察の中に「捜査一課長の井筒将明」という文字を見つけるが、続くページがなぜかファイルされていない)

あすか「捜査一課長の井筒将明…何で次のページがないんだろ…」

(背後からあすかの肩を叩く井筒。驚いて見上げるあすか。井筒は本心の見えない目であすかを見つめる)

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フジテレビ・オン・デマンド「ジョーカー許されざる捜査官」
一話315円、全話1575円

2010年8月11日水曜日

第五話:あらすじ

伊達一義(堺雅人)は、無差別殺人犯・椎名高弘(窪田正孝)が、どうやって心神喪失を装っていたのかが気にかかる。宮城あすか(杏)は、精神鑑定士を上手くだましたのでは、と言うが腑に落ちない。

そんな折、練炭自殺を図った男女3人の遺体が発見された。3人は、昨年起きた、高校生殺人事件の被害者家族だった。被害者家族がなぜ――と驚くあすかに、久遠健志(錦戸亮)は、3人の個人的な問題を派手に書きたてた週刊誌の記事を見せる。伊達は、たとえ記事が真実だったとしても、一家心中を図るまで追い込まれた理由が気になる。すると、記事を見ていたあすかが、伊達を呼ぶ。なんと、高校生殺人事件の加害者の弁護士と、椎名を担当した弁護士が同じだと言うのだ。

早速、伊達とあすかは、弁護士・氷川成美(鈴木砂羽)を訪ね、被害者家族がバッシングを受けるようになった原因が、成美の発言にあったのでは、と切り出す。しかし成美は、それを一蹴。さらに、椎名の鑑定も、心神喪失で間違いはないと自信を覗かせる。そんななか、片桐冴子(りょう)から、椎名の鑑定を行った精神鑑定士・幸田弘道(小須田康人)が行方不明になっているとの情報が入る。伊達と同様、椎名の偽装だけで鑑定結果が誤魔化せるはずはないと感じていた冴子は、鑑定士に目を付けたのだ。

翌日、伊達とあすかは、幸田の自宅を訪ねる。妻・京香(春木みさよ)は、最近、幸田の様子がおかしかったと証言。伊達らが自宅を調べると、金庫から京香に宛てた遺書が見つかり、そこには、椎名の精神鑑定結果を改ざんしたと書かれていた。遺書を見つけたことで京香は動揺するが、伊達は、遺書は人目につきやすい場所に置くものだから、金庫にあったということは自殺の前段階だと考えていい、と話す。さらに、金庫には預金通帳があり、そこに氷川弁護士事務所から 500万円の入金記録があった。ところが、同じ日にその全額が、柿原沙世という人物宛てに振り込まれていた。

その後、伊達が柿原沙世(菅原禄弥)を取り調べたところ、沙世はいわゆる美人局で、幸田と撮った写真をネタに500万円を要求していたことがわかる。しかし、沙世は、金は好意でもらったものだと主張。そんなところへ、沙世の担当弁護士だといって成美がやって来る。

伊達は、幸田に精神鑑定の改ざんを引き受けさせるために、成美が沙世を幸田に接近させたと確信。伊達の主張を聞いた成美は、自分は幸田に、椎名をどうしても勝たせたい、希望の報酬を支払うから力を貸してほしいと言っただけで、改ざんを頼んだ覚えはない、と言い切る。

その頃、あすかは冴子に呼び出され、ある原稿を手渡され、見返りにあすかの兄・夏樹(丸山智己)の事件を一緒に調べてほしいと言われる。冴子が追う"神隠し"が、夏樹が殺害された頃から始まっているため、夏樹の事件に"神隠し"にたどりつくヒントが隠されているかもしれない、と言うのだ。

そんな折、幸田から電話があった、と京香から伊達に連絡が入る。幸田は、自分がやったことは決して許されないことだ、と自殺を思わせる口ぶりだったと言う。その通話記録から、幸田は三浦海岸の公衆電話からかけていたことがわかり、来栖淳之介(平山浩行)らが急行するが、現場に幸田の姿はなかった。

幸田が京香に電話をする前に、成美に電話をしていたことを知った伊達は、成美に幸田の居場所を教えてほしいと頼む。幸田を見つけ真実を聞きたいという伊達に、成美は、鑑定結果を改ざんして自責の念にかられ、自殺を思い立ったというのが真実だろう、と平然と言う。伊達は、成美が沙世の強請りを利用して椎名の鑑定結果を改ざんさせ、今度はその改ざんを理由に自殺を強いたのだ、と成美に迫る。成美は、そんなことで自殺はしないだろう、と言うが、伊達は、幸田は妻を巻き添えにすることに耐えられず、死を選ぼうとしているのだ、と答える。

その頃、あすかは、京香から幸田の居場所のヒントを聞いていた。そんななか、京香は夫がどうして脅されたくらいで死のうとしているのか理解できない、と話す。するとあすかは、迷いながら、「精神鑑定士の妻 息子を殺した過去」と書かれた原稿を差し出す。それは、冴子から渡されたもので、そこには、3歳のときに事故で亡くなった幸田夫妻の息子・伊吹に関することが書かれていた。伊吹は事故死だが、京香に落ち度があったかのように書きたてている原稿が世の中に出たら、京香が傷つくと思った幸田は、それを出版させない約束を成美とした代わりに死を選ぼうとしていたのだ。

その後、伊達の説得で、成美は幸田が三浦海岸の漁協跡にいると明かし、連絡を受けた久遠、来栖らが急行する。しかし、そこに幸田はいなかった。と、あすかから、幸田があるホテルにいることが確認されたと連絡が入る。ところが、来栖らが着いたときには、幸田は自殺を図っていて、かろうじて息はあったが、病院に搬送される前に死亡したという。

成美は、時間を稼がせるために、わざと違う場所を教えたのだ。伊達に幸田の死を告げられても、成美は表情を崩すこともなかった。

その夜、事務所にいた成美のところに、黒づくめの伊達と久遠が現れる。伊達は、幸田を自殺に追い込んだのは成美だ、と迫るが、「だったら何?」とまるで悪びれる様子もない。そして、自分は法には触れていないし、法を犯さなくても人は殺せるのだ、と言い放つ。伊達は、そんな成美に銃口を向けると「お前に明日は来ない」と言い、発砲する――。

その頃、県警本部でひとり夏樹の事件の捜査資料を見ていたあすかは、資料が1枚抜かれていることに気づく。すると突然、肩を叩かれた。そこには、井筒将明(鹿賀丈史)が立っていた。

(以上公式サイトhttp://www.fujitv.co.jp/JOKER/index.htmlより)


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フジテレビ・オン・デマンド「ジョーカー許されざる捜査官」
一話315円、全話1575円

第五話:概要

放送日: 2010年8月10日
タイトル: 「CRIME5 金の亡者…女弁護士の非情」
演出: 土方政人


<ゲスト>

氷川成美: 鈴木砂羽

幸田弘道: 小須田康人

幸田京香: 春木みさよ

柿原沙世: 菅原禄弥

宮城夏樹: 丸山智己


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フジテレビ・オン・デマンド「ジョーカー許されざる捜査官」
一話315円、全話1575円