2010年9月14日火曜日

第九話:感想

いよいよ次回が最終回。
今回は夏樹と冴子を殺した犯人やJOKERの姿が明らかになっていく展開を、リズム良く楽しませてくれたと思う。
警察費内訳に記載されてしまう80億近い裏金といった「とんでも展開」はあったが、むしろここまで突き抜けているとリアリティの欠片もないぶんマンガ的でいい。

謎解きに尺を割いたぶん事件のストーリーラインは穴だらけだったが、直前で無理にストーリーの穴を埋めようとせず、敢えて役者のパワーに頼った点は正解だったと思う。
どの役者にも出来るものではないが、佐野史郎と梅沢昌代は見事にその穴を演技力で埋めてみせた。特に佐野史郎の安定感は素晴らしい。

視聴者にしてみれば「その点は描かれてなかったけど、きっとこの犯人だったらこういうことをしたんだよ」「きっとこのお母さんはこうだったんだよ」と想像を膨らませることでストーリーが胸にストンと落ちれば、消化不良感なく物語を楽しめるというもの。
冴子の弔い合戦としての意味しかなかった殺人事件に、あれだけの存在感を持たせることが出来たのは、佐野と梅沢のおかげだろう。

演出も役の心情をじっくり見せるところは見せていたし、アクションシーンの撮り方もよかった。
第三話や第六話のように複雑で繊細な心情をじっくり演出する回は今ひとつだったが、今回のようにガンガン話が進んでいく回では悪くない。


さて、今回ラストに久遠が刺されてしまったが、久遠を刺したのは一体誰なのかを含めて、最終回に向けて予想をしてみようと思う。

現段階では怪しいのは三上の井筒の2人に絞られたと言っていい。
夏樹・冴子・久遠を刺したのが同一犯なら犯人は三上だろう。
しかし、もしかすると三上と井筒は実は繋がっているのかもしれない。

現在、夏樹と冴子を殺した犯人を知っているのは久遠だけである。
冴子殺害現場に残されたDNAを警官DNAデータベースと照合させた結果、現場にいた捜査員以外のDNAは検出されなかった。しかし久遠はその警官DNAデータベースにからくりがあることに気づき、あすかに「お兄さんと冴子さんを殺した犯人がわかるかもしれない」と伝えている。

井筒は現場に現れているのでデータベースを細工する必要はない。井筒の言うとおり「現場検証の時に警官が毛髪や唾液を残してもおかしくない」。つまり、現場検証にはいなかった誰かのDNAが、現場検証にいた捜査官の誰かのものとして認識されてしまったのだ。
ではデータベースに細工を施して誤魔化したのはいったい誰のDNAだったのか?
おそらくは三上のものだろう。

今回、急に「警視庁」の伏線が登場したが、「警視庁」というのは「東京都」を管轄する警察本部のことで、「神奈川県警察本部」が「神奈川県」を管轄するのと同列の組織である。
細かく言えば、管区下か直下かという違いはあるが、都道府県に属する警察組織であることに変わりはない。

このドラマでは今まで明確に警視庁の人間として登場したキャラクターはいなかった。
しかしながら三上は刑事時代に「井筒とは現場でよく顔を合わせた」と話しているだけで、神奈川県警とも何とも言っていない。
ドラマで刑事時代の三上が登場したシーン追って見ると、神奈川県警察本部で伊達と会ったときに応接室を使っているのがわかる。神奈川県警本部同士や所轄の人間であれば応接室は使わない。
つまり三上刑事は神奈川県警から見たら外部の人間ということだ。

東京都に属する「警視庁」と神奈川県に属する「神奈川県警」の警察官は、国家公務員であるキャリア組を除き、採用試験からして全く別である。
井筒は最初の設定でノンキャリアの叩き上げであることが判っている。つまり地方公務員だ。
三上がキャリアであれノンキャリアであれ「警視庁」もしくは「警察庁」所属の刑事なら、ノンキャリアの地方公務員である井筒とは、たとえ同じ年齢であっても研修所などで一緒になることはほぼない。
管轄の違う組織に属している井筒と三上が、現場で顔を合わせるとしたら、広域捜査しかない。

隣り合う東京都と神奈川県では都県をまたいだ犯罪がよく発生する。
伊達の両親が横須賀で殺された事件も、それまでに犯人の灘木が繰り返していた事件が既に広域捜査の対象となっていたのだろう。
広域捜査に参加していたのであれば、三上のDNA情報も、神奈川県警の警官DNAデータベースに登録されているはずだ。

久遠は「618932」という試料と、冴子殺害現場で採取された試料「2010/08/26 618933-20 毛髪」の、DNA型鑑定と一致判定を科捜研に依頼した。
DNAデータベースのからくりによって合致すべきでないDNAが合致してしまったのだとしたら、からくりを証明するためには「合致しない」ことを期待する試料を鑑定に出したはずだ。
それを証明するように同封されていた「DNA鑑定報告書」のDNA型は一致していない。
そして鑑定書の鑑定結果には「鑑定試料のDNA型の鑑定結果は、元警視庁」(以下不明)と記載されてある。久遠はその記載を見て言葉を失った。
DNAが登録されていて、元警視庁の可能性がある、久遠がよく知る人物。おそらくそこに書いてあったのは三上の名前だったのだろう。

闇の制裁人の仲間になってから、久遠は三上のことを慕っていた。
伊達に助けてもらうまで他人と距離を置いていた久遠にとって、慕っていた三上が旧知の冴子を殺したと知れば相当なショックだろう。
久遠はすぐに伊達に連絡を取ろうとしたが、直前でそれを思いとどまっている。
伊達が恩人と慕う三上が親友と元恋人を殺したと知ったら、伊達は久遠以上のショックを受けるに違いない。久遠は誰にも言わず三上を尾行して、三上の真意を聞くつもりだったのだろう。

久遠が尾行をするために車を停めていた場所は神奈川県警の近くである。
実際には万国橋だが、県警付近をイメージしているシーンと考えていいだろう。
しかし三上のバーが県警の近くにあるという可能性も十分にある。

久遠が尾行した男がもし井筒だったら、久遠はサバイバルナイフを拾うために背を向けたりはしなかっただろう。
捜査一課長としての井筒は知っていても、それ以外の井筒の顔を久遠が知っているとは思えない。そんな相手に久遠があれほど隙を見せるとは考えられない。
おそらく久遠は、サバイバルナイフを落として気を削がれたはずの相手が、更に本気で自分を殺しにかかるとは思っていなかったのだろう。
久遠がそんな風に思う相手は、伊達か三上かあすかくらいなものだ。
その時間伊達は「闇の制裁」に出掛けているから犯人ではない。現場にいたあすかも当然違う。

演じている役者が違う可能性はあるが、久遠を刺した男は久遠より背が高い。
男が久遠に覆いかぶさるようにして刺している姿を見て、第四話や第五話で久遠に覆いかぶさるようにして脅しを掛けていた三上にダブった。体格差はちょうどあの程度だ。


夏樹・冴子・久遠を刺したのが三上だとして、なぜ井筒と三上が繋がっていると思うのか?
最も気になったのは警視庁での井筒の態度だ。

井筒はあすかと自分の会話が他の誰かに見られていることを知っていた。屋上ではその者と視線を合わせさえしている。
夏樹のCD-ROMの情報を考えれば、警視庁が敵の本丸である可能性は高い。そんなところで「警察に裏切られた」だの何だの話すこと自体が不自然だ。
加えて井筒は、今CD-ROMを持っているのがあすかであることを、その場で確認している。誰が聞いているかわからない場所で、そんなことを聞くのはおかしい。

巨額の不明金が動き始めたのは2003年4月。UNDERGROUND Vの13人のうち最も退官が早かった者の退官年月は、その1ヶ月前の2003年3月。怪しい動きはこの頃から始まっている。(余談だが警視庁に地下5階があるという話は都市伝説となっている)
神隠しが始まったのは2005年の12月頃。当時の実行犯の三上は、日向光明と吉住武徳の父親も裁いている。

そして2007年頃から三上と井筒は会話をしなくなった。
その理由は「おまえ、定年前に俺が警察辞めたこと、根に持ってんのか?」「そんなに心の狭い男じゃないよ、俺は。…ただ今更パクられたくないだけだよ」という会話に隠されているような気がする。

2007年といえば伊達が灘木を裁いて「闇の制裁人」になった年だ。
そのとき三上はまだ刑事だったから、井筒と口をきかなくなったのはその後だろう。
口をきかなくなった訳は三上が定年前に警察を辞めたことに腹を立てたからだろうか?
もしかしたら何かを探られないようにあえて距離を置いたのではないだろうか?

夏樹のCD-ROMのSheet3には「闇の制裁」の島流しの場所らしきデータが打ち込まれていた。緯度34.633208、経度139.759827。大島沖東南東約40kmの地点である。
おそらくJOKERとは法に裁かれなかった者を秘密裏に裁く組織で、その資金として巨額の裏金が動いていたのだろう。

ここからは全くの想像だ。
妻子を殺された三上は組織の「実行犯」役として2005年には既にJOKERの仲間になっており、JOKERに辿りついてしまった井筒と夏樹に警告をした。命の危険を感じた井筒はJOKERに寝返り、夏樹にも追うのを止めさせると約束するが失敗し、夏樹は三上によって殺害され、井筒も罪を着せられそうになる。
三上は「法で裁けなかった者を裁く」というJOKERの活動に賛同はしているものの、裁くことに痛みを感じないJOKERの在り方は違うと感じていた。
井筒も三上もJOKERの駒として働くが、2007年に伊達を仲間に入れたことをきっかけに三上は警察を退職して「闇の制裁」に専念。警察内に残った井筒はいい加減な中間管理職を装いながら「情報屋」として活動、三上にも裏で情報を流していた。
というストーリーはどうだろうか?いかにもありそうではないか?

井筒が「情報屋」であれば、第四話で冴子が「椎名高弘も神隠しにあう可能性があります」と言った途端にどこかに消え、そのせいで冴子は椎名の神隠しに間に合わなかったことも、井筒が「CD-ROMを持っているのは冴子」と知った直後に冴子が殺されたことも、「CD-ROMを持っているのはあすか」と知った直後にあすかが狙われたことも、警視庁で誰かが見ているのを承知の上であんな話をしたのも、すべて納得がいく。

一方三上にとっては、人を裁く痛みを知っている伊達は、理想的な「闇の制裁人」だったろう。「法から逃れた者を裁く」という活動を絶やさないためには、阻害要因である冴子やあすかを始末することも止むを得ない。仲間として評価しつつあった久遠が真実に辿りついてしまったのは、三上にとっては計算外だった。というところではないだろうか?

最終回でJOKERの全貌が明らかになり結末を迎えるには、15分延長程度では足りないだろう。おそらく続篇かSPが予定されていると思われる。
海外のドラマのように衝撃的なシーンでクリフハンガーだけは勘弁だ。

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フジテレビ・オン・デマンドジョーカー許されざる捜査官
一話315円、全話1575円

2010年9月13日月曜日

第九話:伏線?セリフ集

(穀物倉庫。絶命している冴子に気づくあすか)

あすか「冴子さん?…冴子さんッ!」

伊達「もう息はない」

あすか「…伊達さんじゃ…ないですよね?」

伊達「もしそうなら、ここにはいないよ。君はどうして?」

あすか「9時に…ここで兄の事件の真相がわかるからって…」

(伊達、冴子の傷口を見る)

伊達「宮城が殺されたときと同じ手口だ」

***********************************************************

(冴子の遺体を前に現場鑑識を始めている鑑識班。来栖、堀田、轟が到着)

武本「亡くなったのは…」

来栖「わかってる。片桐冴子。ルポライターだろう?」

(久遠が現場に駆け込んでくる)

溝口「おまえ何やってたんだよ!」

久遠「(冴子の遺体を見て)…うそだろ」

堀田「どうなってんだよ?…この人、元警官だったんだろ?」

「しかも第一発見者は…」

捜査一課刑事「伊達さんは片桐さんからの電話を受けてここに来たんですよね」

(頷く伊達)

捜査一課刑事「その電話の時点でおそらく片桐さんは犯人に刺されていた」

(井筒、現場に到着)

来栖「課長」

(井筒、冴子の遺体の前にくる)

井筒「死亡推定時刻は?」

武本「午後9時頃です」

井筒「凶器は?」

溝口「サバイバルナイフだと思われます。腹部を刺してから突き上げるようにして上方へ」

井筒「(冴子の死に顔を見つめ)…バカが…」

(あすか、鋭い視線で井筒を見つめる)

***********************************************************

(捜査一課)

来栖「目撃情報はいまだゼロです。あのへんは昼でも一通りが少ないらしくて」

堀田「鑑識からも特に犯人に繋がる情報は得られてません」

井筒「3日たっても何も出てこないか」

「あれだけハデに殺しといて」

井筒「プロの犯行で間違いないだろうなぁ」

来栖「プロ?」

あすか「(静かな口調で)それは警察官の可能性もあるってことですか?」

(来栖たち、あすかを見る)

井筒「そうかもね」

***********************************************************

(捜査一課、小原節子との面会を終えた伊達が入ってくる)

伊達「課長」

井筒「ん?」

伊達「(横浜女子大生バラバラ殺人事件)のファイルを出して)この事件、追わせてください。新たな情報が入りました。もしかしたら真実がわかるかもしれません」

来栖「おまえ何いってんだよ!もう時効なんだぞ?」

(伊達、井筒を見つめる)

井筒「わかった。好きにしろ」

来栖「課長!」

井筒「(伊達を指さして)言っても聞かないもん」

伊達「ありがとうございます」

(納得がいかない表情のあすか、捜査一課から出て行く伊達を追いかける)

あすか「どうして冴子さんの事件追わないんですか」

伊達「時効が成立しているからと言って有力な手がかりを無視するわけにはいかない」

あすか「そうじゃなくて!…あなたは冴子さんの事件を追うべきなんです。冴子さんをあんな目に合わせた犯人を捕まえるべきなんです」

伊達「そうだねえ」

あすか「どうしてそんなに平気でいられるんですか?冴子さんはまだ伊達さんのことが好きだったんですよ?」

伊達「私情を挟むな。…操作の基本だよ?」

***********************************************************

(バーMikami、ビールをヤケ飲みするあすか)

あすか「あー、ムカつくっ!恋人だった人が亡くなったっていうのに…」

三上「伊達か?」

(あすか、無言)

三上「冷たいとか思ってる?」

あすか「っていうか、よくわかりません。あの人」

(三上、カウンターの外に出る)

三上「実は冴子ちゃんが亡くなった次の日、あいつはじめてイチゴミルク以外のものを注文したんだ。冴子ちゃんがいつも飲んでいたウイスキーだよ。何杯も飲み続けて、結局一時間も吐き続けた」

(回想シーン。洗面所に手をついている伊達。三上「大丈夫か?」伊達「ちょっと飲み過ぎちゃいました」)

三上「吐いた涙に見せかけて。バカなやつだよ。…でもそういう男なんだ。あいつは」

あすか「でも…だったらどうして時効事件なんか…」

三上「それ、20年前のバラバラ殺人じゃない?」

あすか「はい」

三上「やっぱり。その事件は冴子ちゃんが担当した最後の事件なんだ」

あすか「え?」

三上「最後にして唯一時効にしてしまった殺人事件。冴子ちゃん酔うといつもその事件のこと悔やんでた。伊達なりの弔い合戦なのかもしれないな」

***********************************************************

(小原家)

節子「冴子さん、毎年必ずお線香上げに来てくださったんです」

(伊達の脳裏に仏壇に線香を上げて祈る冴子の姿が浮かぶ)

節子「そんな人がまさか殺されるなんて。どうしていい人に限って早く逝ってしまうんでしょうね」

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(夜。捜査一課に戻ってきたあすか)

あすか「戻りました」

来栖「おい宮城」

あすか「はい」

来栖「科捜研からだ。(資料をあすかに渡す)片桐冴子が殺された現場で採取したDNAと警官のデータを照合した結果だ。現場にいた捜査員以外のDNAとは合致しなかった」

堀田「おまえが言ってた警察内部の犯行じゃないってことだ」

「読みが外れたな」

(あすか、悔しそうに席に着く。ふと夏樹のCD-ROMを思い出して鞄から取り出す)

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(回想)

あすか「冴子さん」

冴子「ごめんね、職務中に」

あすか「どうしたんですか?」

冴子「夏樹が殺された前日の足取りを追ってったら、信用金庫で夏樹が貸金庫を持っていたことがわかったの」

あすか「貸金庫?」

冴子「でも本人以外は遺族しか見られないらしくって」

あすか「わかりました。行きましょう」

(信用金庫の貸金庫室。夏樹の貸金庫を開けるあすか。そこには「Natsu」と書かれたCD-ROMが一枚入っていた)

あすか「CD-R?」

冴子「これを見れば夏樹が追ってたものがわかるかも」

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(あすか、夏樹のCD-ROMを自分のPCに挿入する。パスワードが要求される)

あすか「パスワード?」

(MIYAGIもNATSUKIもパスワードではなかった)

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(あすかと井筒、無人の会議室に入る)

井筒「何だよ、用ってのは」

(あすか、井筒の前に夏樹のCD-ROMを差し出す)

あすか「これに見覚えはありませんか?」

井筒「片桐が持っていたやつか」

あすか「やっぱり冴子さんが殺される前に会ってたんですね。でもこれはパスワードがないと内容がわからないです。何かご存知でしたら教えてください」

井筒「君は知らなくていい」

あすか「冴子さんの現場で採取したDNAは警官のDNAデータと照合した結果、現場にいた捜査員以外のものとは合致しなかったそうです」

井筒「それは来栖から聞いたよ」

あすか「でも裏をかえせば、現場にいた捜査員のDNAは残ってたってことですよね」

井筒「そりゃ現場検証の時に警官が毛髪や唾液を残してもおかしくないだろ?」

あすか「犯人はそれを知った上で現場に来たって考えられませんか?容疑から逃れるために」

井筒「俺を疑ってるのか?…くくっバカバカしい」

(井筒、部屋から出て行く)

***********************************************************

(久遠部屋、小原美咲の遺品を調べる伊達と久遠。そこへあすかが入ってくる)

久遠「どした?」

(あすか、伊達を睨みながら夏樹のCD-ROMを差し出す)

あすか「これ。5年前に兄が遺したものです。兄の事件に関係しているかも知れません。でもパスワードがないと見られないです。伊達さんなら何か知ってるかと思って」

久遠「お兄さんの事件に関係してるなら、同じ手口で殺された冴子さんの事件とも繋がりがあるかもね」

伊達「この中身を知ることで宮城や片桐くんのように君にも危険が及ぶかもしれない」

あすか「…それでも真実が知りたいです」

(伊達、夏樹殺害現場から井筒が夏樹の携帯を持っていったことを思い浮かべる)

伊達「宮城の携帯に何かヒントが隠されてるかもしれない」

久遠「5年前の事件ならここに保管されてるんじゃない?」

(久遠立ち上がって探しに行く)

久遠「あったあった。お兄さんの遺留品」

(遺留品保管箱を開けて中から携帯電話を取り出しあすかに渡す。携帯の中を確認するあすか)

久遠「どお?」

あすか「ないですね…」

伊達「削除された可能性もある。久遠くん。君の出番だ」

久遠「調べてみる。(あすかに向かって)何か出てきたらちゅーね」

あすか「しません。でもお願いします。私は冴子さんの事件に戻ります。(伊達に)時効事件、冴子さんの担当だったんですね。…冴子さんの無念を晴らしてください」

伊達「がんばります」

***********************************************************

(久遠部屋。ノックもしないであすかが入ってくる)

あすか「パスワードがわかったって本当ですか?」

久遠「ちゅーよろしくね」

あすか「しません」

久遠「(夏樹の携帯を開く)5年前の事件前日、お兄さん、こんなメールを井筒課長のもとに送ってる」

(携帯を覗き込むあすかと伊達。そこには「データをCD-Rに落としました パスワードは「JOKER」」の文字が)

あすか「JOKER…」

久遠「CD-Rいい?」

あすか「はい」

(PCにCD-Rを入れてパスワードJOKERを入力。表計算ソフトで作られたファイルが開く)

あすか「これは…」

伊達「JOKERという口座に毎月警察から振り込まれている」

久遠「口座名がパスワードになってたんだ」

あすか「その…JOKERって何なんですか?」

久遠「(画面をスクロール)18億…。他にもページある」

(久遠、Sheet2をクリック。UNDERGROUND Vと書かれたページが表示される)

久遠「なんだこれ?」

伊達「警察のトップクラスの人間ばかりだな」

久遠「ってことはさっきの…裏金?」

伊達「その可能性はある。だがそれにしても金額が大きすぎる」

あすか「このUNDERGROUND Vっていうのは…」

伊達「地下五階…。ここに並んでいるのは警視庁のOBばかりだ」

あすか「じゃあ警視庁の地下5階に何かがあるってことですか?」

久遠「でも確か警視庁って地下4階までだよね」

伊達「あるいは地下5階が実際に存在する」

(久遠、Sheet3をクリック。34.633208,139.759827という数字が現れる)

伊達「何だ、この数字」

久遠「このCD-Rも複製できないようにロックされてるし、君のお兄さんは相当ヤバイことに足突っ込んでたんだろうね」

***********************************************************

(捜査一課に戻ってきた伊達、あすかがいないことに気づく)

伊達「あれ?宮城くんは?」

滝川「いえ見てませんけど」

井筒「ん?どうかしたのか?」

伊達「いえ別に」

(伊達、部屋から出て行こうとして踵を返す)

伊達「課長。…警視庁の地下五階。聞いたことありませんか?」

***********************************************************

(警視庁の階段を降りていくあすか。地下4階で地下5階に行く道を探すあすか。目の前には観音開きの扉。背後から声がかかる)

井筒「探しても無駄だ」

(ふりかえるあすか。近づいてくる井筒。あすか、思わず後ずさる)

井筒「警視庁に地下5階はない。正確に言えば、誰も見たことがない。まさかパスワードを見つけるとはねえ」

あすか「課長は何を知ってるんですか?教えてください!私は真実が知りたいんです」

(2人の視線がぶつかる。井筒は軽く顎を振って「付いてこい」と背を向けて歩き出す)

あすか「課長?」

(追うあすか。その一部始終を防犯カメラが見ている)

***********************************************************

<5年前>

(捜査一課。井筒、夏樹に東京都の「平成17年度4月分警察費内訳」を見せる)

井筒「これを見てみろ。警察内に不透明な金が流れてる。機密費とあるがかなり莫大な額だ」

夏樹「たしかに額がでかいですね」

井筒「もしかしたら上層部の不正かもしれん。腐った奴らを一斉排除するチャンスだ」

夏樹「俺に追わせてください」

井筒「出来るか?」

***********************************************************

(警視庁の屋上)

井筒「あのころ俺は警察にまだ希望を持っていてね。人並みに正義感もあった。だから情報屋として使ってたチンピラに探りをいれさせた。1ヶ月がたった頃かなあ、あるネタを掴んだという知らせが入った。だがその直後、その西崎という情報屋は消された」

***********************************************************

<5年前>

(会議室。西崎の遺体の前で知らないふりをした井筒に対し)

夏樹「どうして知らない振りをしたんですか?」

井筒「殺された西崎は俺達が追っているネタを掴んでいた。おそらくそれが原因で殺されたんだ。この事件に深入りすんのは危険だな。これ以上追うな」

夏樹「そんなこと言われて納得出来るわけがないでしょう」

井筒「まだわからないか!これは警告だ。俺達も感づかれてるかもしれない」

夏樹「井筒さんは知りたくないんですか?あの裏金が何に使われてるのか!…俺は追いますよ」

***********************************************************

(警視庁の屋上)

井筒「俺があそこで無理にでも止めていれば宮城はあんなことにならなかったかもしれない。君の兄貴は俺が殺したようなもんだ。俺にやれることといえば宮城が掴んだ情報を守ることだけだった。だが俺もワケの分からないタレコミで容疑者にされる始末だ」

あすか「それを救ったのが…伊達さん」

井筒「ああ」

***********************************************************

<5年前>

(取調室)

伊達「あなたはコンビニ強盗殺人を私と一緒に追っていた。そうですね?」

(同意する井筒)

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(警視庁の屋上)

井筒「あいつの嘘の証言のおかげで俺はスケープゴートにならずに済んだ。警察に…裏切られた。信じていた警察に、裏切られた。いつの間にか俺は事なかれ主義のサラリーマン刑事になってしまった」

あすか「どうして捜査資料を一枚抜き取ったんですか?」

井筒「君や片桐が真実に辿りつかないようにするためだ。もともとは俺が招いたことだ。あれ以上犠牲者を出すわけには行かなかった。だが、片桐も殺された。もうこれ以上黙って見過ごすわけにはいかない。何としてもホシを上げる」

あすか「その言葉、信じていいんですね?」

井筒「…ああ。だけど、裏金を受け取っているJOKERが何なのか、警察OBがどう関与しているのか、わからねえんだよ。だからまだ今は動かないほうがいいと思う。そのうち向こうがアクションを起こすだろう」

あすか「わかりました」

井筒「CD-Rはどこにある?」

あすか「私が持ってます」

井筒「そうか。大事に持っとけよ」

あすか「はい!」

(そんな2人を物陰から見ている者が。井筒はその者と一瞬視線を合わせる。あすかは気づかない)

***********************************************************

(応接室)

伊達「鈴川孝太は書類送検されましたが、時効の完成が認められたため不起訴処分となりました」

節子「そうですか。…ありがとうございました。(無念を滲ませ)…時効制度の撤廃がもう少し早ければ、不起訴にならずに済んだんですよね?」

(拳を握りしめ悔し涙を堪える節子を見つめる伊達)

(応接室を出るとあすかが立っている)

あすか「お疲れ様でした」

(伊達、言葉を発することなく手かざすことであすかに応えて去っていく)

***********************************************************

(久遠部屋に入っていくあすか)

あすか「久遠さん、何ですか用って?」

久遠「もしかしたら、お兄さんや冴子さんを殺した犯人が分かるかも知れない」

あすか「どういうことですか?」

久遠「警官のDNAデータベースにからくりがあったんだ。もうすぐ科捜研の結果が出る」

***********************************************************

(捜査一課に戻るあすか。井筒も強行犯4班も誰もいない。あすかの携帯が鳴る。19:32、非通知での着信)

あすか「(電話に出る)はい」

謎の声「(ボイスチェンジャーを噛ませた声で)宮城あすかさんですね?」

あすか「誰ですか?」

謎の声「JOKER、といえば分かりますか?…これからお会いできませんか?CD-Rと引換えにお兄さんを殺した犯人をお教えします(電話が切れる)」

(部屋を飛び出すあすか)

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(科捜研の結果を開く久遠。DNA鑑定書を見て衝撃を受ける)

久遠「なんでだよ…」

(久遠、携帯を取って伊達に連絡しようとするが、何かを思い携帯を閉じる)

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(バーMikami。店の電話が鳴る。三上、電話に出る)

三上「はい」

久遠「久遠だけど、今日そっちに行けなくなった、急用が出来ちゃって。ごめん」

三上「わかった。伊達には俺から伝えておく」

***********************************************************

(横浜、神奈川県警付近の路上。誰かを尾行しようと車で待っている久遠。20:33)

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(夜。鈴川の画廊。鈴川は電話でヌード写真をネタに誰かを脅迫している。そこに伊達が現れ、鈴川に向けて麻酔銃の銃口を向ける)

鈴川「撃つな。待ってくれ頼む。俺には家族がいるんだ。俺がいなくなったら家族が悲しむ。いいのか?おまえのせいで周りの人間が傷つくんだぞ?」

(伊達の脳裏に冴子の「正義って何だろうね」という言葉が蘇る)

伊達「それでも。俺はおまえを裁く。おまえに明日は来ない」

(伊達、引き金を引く)

***********************************************************

(冴子が殺された根岸の穀物倉庫。フードを被った怪しい男が現れ、入り口である階段の下にタンク脇に潜む。尾行している久遠。そこにあすかが現れ、階段を登っていく。立ち上がる謎の男。久遠の表情が緊張する)

(穀物倉庫の中に入るあすか。そこには誰もいない)

(あすかを追って階段を登ろうとする男を久遠が掴んで投げ飛ばす。フェンスに身体をぶつける男)

久遠「彼女に何の用だよ」

(ゆっくり振り向く男)

久遠「(悲しそうな声で)あんたの後つけながら心の中でずっと祈ってたよ。全部嘘であってくれって。…あんたが宮城夏樹と冴子さん殺したのか?」

(男、ゆっくりとサバイバルナイフを持ち上げ、反転させて刃先を上に向ける。それを見下ろし、男の顔を見る久遠)

久遠「(悔しそうに)何でだよ」

(男、久遠に襲いかかる。男の背中を取って抑えこむ久遠)

久遠「なんでこんなこと」

(久遠、男の手を自分の膝に打ち付ける。男の手からサバイバルナイフが落ちる。久遠、男の体を思い切りフェンスに投げつける。その音に気づくあすか)

久遠「知りたくなかったよ。これが真実なのかよ」

(久遠、無防備に男に背を向けサバイバルナイフを拾う。男、折り畳みナイフを取り出し、躊躇いもせず振り返った久遠の左上腹部を刺す。そのまま上方にねじ上げようとする男の手を抑えて抵抗する久遠。朦朧としながら自分を殺そうとしている男を見る)

(倉庫から飛び出てくるあすか。階下を見ると久遠と謎の男がいる。男、あすかが出てきたことに気づき逃走。崩折れる久遠)

あすか「久遠さん?(久遠の上腹部から大量の血を流れているのを見て)久遠さんっ!」

(久遠、苦しそうに顔を歪ませるだけ)

あすか「(泣きそうな声で)久遠さんっ!久遠さんっ!!」

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(車を運転する伊達の携帯が鳴る。発信者はあすか)

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フジテレビ・オン・デマンドジョーカー許されざる捜査官
一話315円、全話1575円

2010年9月11日土曜日

第九話:あらすじ

伊達一義(堺雅人)は、片桐冴子(りょう)が5年前に刺殺された宮城夏樹(丸山智己)と同じ手口で殺害されていることに気づく。鑑識の捜査の結果、凶器も夏樹殺害と同じサバイバルナイフだったとわかった。

事件後3日が経っても、冴子を殺した犯人の目撃情報すら出てこない。井筒将明(鹿賀丈史)らは、プロの犯行だと断定。警察官の犯行の可能性もあると聞いた宮城あすか(杏)は、言葉を失う。

そんな折、5年前に時効が成立した事件の遺族が、新たな手がかりを見つけたと言ってやってくる。それは20年前、当時大学生の娘・美咲(森口彩乃)を殺害された母・小原節子(梅沢昌代)だった。節子が持参したのは、美咲が亡くなる1ヵ月前に20年後の自分に向けて書いた"未来郵便"で、そこには、「S先生と自分はどうなっているんだろう」と書かれていた。節子は、そんな人物を知らないが、その者が犯人に違いないと感じていると言う。時効直前、その事件を追っていたのは冴子だった。捜査資料に冴子の名前を見つけた伊達は、時効度外視で事件を追うことを決める。

その後、伊達と久遠健志(錦戸亮)が、「S先生」について調べていると、美術教師の鈴川孝太(佐野史郎)という人物に行き当たる。

同じ頃、あすかは夏樹が貸し金庫に預けていたCD-Rを開けずにいた。思いつくままにパスワードを入力するが、どれも合致しない。久遠に助けを求めると、一緒にいた伊達が、夏樹の携帯電話のメールにヒントがあるのではないかと言う。そして、削除されていたデータの復元を久遠に依頼する。

後日、鈴川が経営するギャラリーにやってきた伊達は、鈴川に美咲の件を切り出す。すると鈴川は、美咲と付き合っていたことは認めたが、殺害は否定した。そんななか伊達は、鈴川が自分の血液を使って描いたという絵を持ち帰り、久遠にDNA鑑定を頼む。その結果、美咲殺害現場に残されていたDNAと一致することがわかった。

さらに、久遠は、CD-Rのパスワードが「JOKER」であることも突き止めた。伊達、あすかが見守るなか、パスワードを入力すると、パソコンの画面に数字や記号が現れた。それは、警察の機密費が、JOKERという口座に振り込まれていることを示していた。また、次のページには、「UNDERGROUND  V(アンダーグラウンド ファイブ)」との表記があり、元警察官たちの名前が書かれた名簿があった。アンダーグラウンド ファイブとは、地下5階を意味する。名簿に名前がある人物が警視庁のOBであることから、警視庁の地下5階に何かあるのでは、とあすかが尋ねる。しかし、警視庁には地下4階までしかないのだ。

地下5階の謎が気になるあすかは、警視庁に行き、地下を調べ始める。とそこへ、井筒が現れた。真実が知りたい、と訴えるあすかに、井筒は重い口を開く――。

それは、5年前、警察内部に不透明な金が流れていることに気付いた井筒は、そのことを夏樹に告げた。正義感の強い夏樹はすぐに捜査を開始し、井筒も情報屋を使い内偵を進めた。ところが、1ヵ月後、情報屋が何者かにより殺害され、その後すぐに、夏樹も同じ手口で殺害されたのだ。井筒は自分たちが探ろうとしていたものが、非常に危険な真実だと確信し、夏樹に事件から手を引くようにと警告した。しかし、真実を追求したい夏樹はそれを聞かず、事件を追ったのだ。自分が無理にでも止めていれば、夏樹は死なずに済んだのかもしれないと、井筒は悔恨の表情を見せた。また、冴子とあすかの身を守るために、夏樹事件の捜査資料を抜き取り、真実から遠ざけようとしたことも明かした。しかし、冴子が殺害された今、必ず犯人を探し出す、とあすかに誓った。そんなふたりのやりとりを、身を潜めて見ている人物がいた。

その頃、伊達は美咲殺害を自供した鈴川を取り調べていた。容疑を全面的に認めた鈴川だったが、時効が成立しているため、不起訴処分となる。しかし、伊達はさらに鈴川の件を調べ、鈴川が複数の生徒にヌードモデルになるよう強制したうえ、裸体を隠し撮りし、脅迫のネタに使っていたことを掴む。美咲もそんな被害者のひとりだったが、卒業を機に鈴川を訴えると言い出したため、殺害されたのだ。しかも驚くべきことに、20年経った今も、鈴川は同じ手口で女性らを脅迫していたのだ。伊達がそのことに言及しても、反省の色すら見せない鈴川。伊達は、そんな鈴川に向かい麻酔銃を発砲した。

一方、あすかは、「JOKER」を名乗る人物からCD-Rと引き換えに、夏樹を殺した犯人を教えると言われ、冴子が殺害された倉庫へやってくる。と、そこへ久遠も現れる。久遠は、フードを被りナイフを持った男が、あすかを追おうとしているのを引きとめた。ふいをつかれ振り返った男に久遠は、「あんたが宮城夏樹と冴子さんを殺したのか」とにじり寄る。そして、こんな真実なら知りたくなかった、と言ったとき、男にナイフで腹を刺される。すると、物音を聞きつけたあすかが駆け下りてきた。あすかを認めた男は、逃走してしまう。

その頃、伊達は、眠らせた鈴川を乗せた車を走らせていた。あすかから、非常事態を告げる電話がかかっていることにも気付かずに…。 


(以上公式サイトhttp://www.fujitv.co.jp/JOKER/index.htmlより)


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一話315円、全話1575円

第九話:概要

放送日: 2010年9月7日
タイトル: 「CRIME9 時効…真実に怒りの裁き!」
演出: 都築淳一


<ゲスト>

鈴川孝太: 佐野史郎


小原美咲の母: 梅沢昌代

小原美咲: 森口彩乃



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第八話:感想

脚本がどうの、演出がどうの以前に、3週も引っ張った問いかけの答えが、あまりにも稚拙で思いっきり脱力してしまった。

制作側が言っているのはつまり「犯人がマジでムカつく悪党で、逮捕するだけの物証がなくて、裁くほうも苦しみを感じていて、終身監禁でも殺しさえしなければ、それを正義とは呼ばないまでも、第三者が自分勝手に他人を制裁したって仕方がないじゃん、そうさせる世の中がいけないんだからさ」ということだ。

それをやるんなら伊達をもっとしっかりダークヒーローにしとかないと。
これじゃあ単に私刑を推奨しているのと変わらなくなってしまう。
このドラマは舞台は実在の組織である神奈川県警察本部、ドラマの冒頭にはご丁寧にも事実に基づくことを仄めかすようなキャプション付きだ。
伊達にヒーロー性をもたせたい気持ちはわかるが、もう少し慎重に、充分に練り上げたものを出すべきだろう。

今回、前述のような「伊達の信じる正義」が示されることは容易に想像がついたが、実は楽しみにしていたことがもう一つあった。
日向と吉住という「初めて2話連続で登場する犯人」の内面がどのように描かれるのかということだ。
全10話で第七話と第八話に登場なら中ボスクラスの敵だろう、役者も悪くない。
しかし、こちらも残念なことに、始まって10分しないうちに「いつもの情状酌量の余地がない悪人」であることが読めて急速に萎えてしまった。

主人公の伊達も、前回はカッコよかったのに今回はいいとこなし。
吉住・日向兄弟と伊達・久遠コンビを年上と年下に分けて対決させていたが、吉住に対して「殺して全てが解決するのか?」と言わせたいだけなら、捕えられるのは伊達ではなく久遠で充分だった。
日向と久遠の精神面が危うい若造対決も面白かったが、この回は「伊達の正義」と「日向の正義」が正面からぶつかる回だ。何も知らない捜査一課の面々を前にした、伊達と日向の息詰まる攻防も見てみたかった。

結局、伊達と日向が対決したのは、前回のラストシーンと今回の闇の制裁シーンのみ。
前回は日向の言葉に激しく動揺した伊達が、今度は毅然と日向を制裁する。
こんな内容なら2週に分けず1週にまとめてしまってよかったと思う。


さきほど「ダークヒーロー」と書いたが、「ヒーロー」が人々の危機に現れて賞賛されるべき行為で人々を救うのに対し、法に反した手段を用いて自分の信じる正義を果たそうし、その正義のあり方が人々から共感を得ているのが「ダークヒーロー」と呼ばれるキャラクターである。
仇討を請け負う「必殺シリーズ」の中村主水や、個人の判断で犯罪を取り締まる「バットマン」のブルース・ウェイン、昼間は盲目の弁護士、夜は法から逃れた者を裁く「デアデビル」のマット・マードック、殺戮も躊躇わぬ私刑執行人「パニッシャー」のフランク・キャッスルなどがそれにあたる。

無法の番人である伊達たちは当然のことながらヒーローではありえない。
制作側も当初「このドラマはピカレスク(悪漢)ドラマ」だと話していた。
つまり伊達たち「闇の制裁人」は最初からヒーローではなくダークヒーローとして設定されていたわけだ。

通常「ダークヒーロー」は正規の警察組織には属さない。中村主水のように属している場合でも、その中で自分の正義を実現しようとはしない。
それはそうだ。警察官として正規の手段で正義を果たすのであれば、それはもはや「ダークヒーロー」ではなく「ヒーロー」側の人間になってしまう。

本来「ダークヒーロー」は権力の駒として活動はしない。
自分の信じる正義を果たすためには法に反した手段しかなかった、というのがダークヒーローがダークな道を選んだ理由だからだ。
だからダークヒーローは自分が信じた正義を厳密に守ろうとする。バットマンが悪人を殺さないのも、パニッシャーが躊躇わずに殺すのも、彼らの信念に基づくものだ。
権力の駒として権力の意向に従って活動するんじゃ、ダークな世界に身を投じてまで自分の信じる正義に殉じようとした意味がなくなってしまう。

そして「ダークヒーロー」の心のなかには、自分の信じる正義が本当に正義なのか、という問いが常にある。
自分の信じる正義を果たすために大量殺人を行ったり、他人の幸せを奪ったり、犯罪者を無罪にしようとしたり、傍から見たらとても正義とは思えない出来事は多々ある。
ダークヒーローのしていることも法から見ればただの犯罪者だ。
では、自分の信じる正義という名のもとに間違った行いを繰り返す者と、ダークヒーローの違いは何か?それは考え続ける努力を止めないということに尽きる。

もしダークヒーローが考えることを放棄して「自分の行っていること=正義」という短絡的な認識のもとに行動するようになったら、どこかでただの犯罪者に成り下がる。悪人の典型的なパターンだ。
自分の存在意義である「自分の信じる正義」を常に真摯に考え続けているからこそダークヒーローはダークヒーローとして成り立つのだ。


正義、正義と連発したが、日本人にとって「正義」という言葉は強すぎて拒否反応があるかもしれない。
正義とはつまり「人として正しくあろう」とすることだ。
立派な人間でも誉められた人間でも優しい人間でもないし、いざというときに逃げちゃうかもしれない駄目な人間だけど、出来るなら人として正しくありたい。そう思えるならその人の中にもちゃんと正義はある。

今回明らかになった伊達にとっての「闇の制裁」を行う理由は、「裁かれるべき悪人が裁かれないから裁く、それを正義とは言わないが、その現実がある以上仕方がない」というものだった。
正直なところ、伊達が「闇の制裁」をするには何か別の理由があると思っていたのだが、今回のストーリーでそれらの芽も消えてしまった。

この伊達の考えと行動に対し視聴者から共感を得る為にはまず、「伊達が”人として正しくあろう”とするには、法を無視した”闇の制裁”しかなかった」という背景が必要になる。
そのためには「法で裁けなかった犯人」が必要で、「優秀な刑事である伊達が、どうやっても法で裁くところまで持って行けなかった」というストーリーそのものが、伊達の行動に説得力を与える。
だから本当はそのストーリーに決して手を抜いてはならなかったのだ。

今回、伊達は日向を「闇の制裁」に処したが、日向は「美代子が偽証を証言しさえすれば逮捕出来る犯人」だったはずだ。前回、伊達自身がそういって美代子を説得している。
その美代子が「偽証を認めて出頭する」と言っているのだから、伊達は「法で裁ける者は法で裁く」の言葉通りに日向を法で裁くべきだった。

三上は「遺族の明日のため」に闇の制裁を行っていると言っていた。しかしたとえ遺族であっても罪は罪である。
制作側の価値基準では「相手のためを思うなら罪を揉み消してやるべき」なのかもしれないが、それは多くの共感が得られる考えかたではないだろう。
気性のはっきりした美代子にとってはむしろ、自分の罪を明らかにして裁きを受けることこそが、死んだ夫とお腹の子に恥じないためのけじめになったのではないだろうか。
そもそも罪と言っても日向に脅迫されての偽証だし、遺族感情を考慮されて不起訴になる可能性が高い。

自身の職務として正しい方法で裁けたのに、なぜ伊達は「闇の制裁」に処したのか?
ドラマを見ている限り「単に伊達が法ではなく自分の手で制裁したかったから」にしか見えない。
第六話で自ら久遠に言った「目撃証言が出たから逮捕出来る。”こんなクズはいなくなったほういい”なんて、そんなことは君が決めることじゃない。法で裁ける者は法で償わせる。俺達がやっていることは復讐じゃない」という言葉を、伊達はどのように思っているのだろうか。

第二話でも伊達は、春日の48時間拘束の切り札に使った折り鶴の件で「金庫」が「可愛らしい手提げバッグ」のことだと知りながらも、春日を闇の制裁に処する決め手にするために敢えて取調べではそのことを話さなかった。
もし伊達が「高原スズエさんは可愛らしい手提げバックを”金庫”と呼んでいました。その中に入っていたんですよ」と言えば、48時間拘束で冷静さを失いつつあった春日は観念して自白したかもしれない。

このドラマでは「証拠を掴むのは難しい」「物証がないから法では裁けない」というシーンも多いが、凶悪事件のしかもあんなに物証を取りやすいケースで「物証が取れませんでした」なんて言ったらそれこそ笑いものだろう。

こういった安易な展開が、「優秀な刑事である伊達が、どうやっても法で裁くところまで持って行けなかった」という印象を視聴者に与えず、闇の裁きを決断する伊達に説得力を与えなかった。
遡ってそれは「伊達が”人として正しくあろう”とするには、法を無視した”闇の制裁”しかなかった」という共感も減じさせた。

しかも、その「闇の制裁」の背後にあるものについて、伊達は全く興味を持っていない。
裁いた人間が殺されないまでもどのような人生を送ることになるのか、監獄を維持する資金がどこから流れているのか、三上の他に誰が関わっているのか。神隠しを追っていた冴子が殺されたというのに、神隠しの実行犯である自分の背後にある権力に疑問を抱く様子もない。
「俺の役目は法で裁けなかった人間をここに連れてくるところまでだ。そのあとどうなってるか知らないし知りたいとも思わない」と言い切っている。

「自分が信じる正義」についても、日向に「僕はあなたと同じだ」と言われて動揺はしたが、結局「俺は人を裁くことに痛みを感じてるし殺してる訳じゃないから日向とは違う」という、自己弁護でしかない短絡的な認識を得ることで、自分自身を肯定してしまった。
自分が裁いた相手が”本当のところ”どうなっているかなど、その点に全く興味を抱いていない伊達に知りようなどないのだが。

伊達が「闇の制裁人」になったきっかけは灘木だ。
子供だった伊達に刺されたものの一命を取り留めた灘木が、刑務所から出所した後も悪事を繰り返し被害者を出していることを知った伊達は、自分自身の正義感に則って闇の制裁を行った。

灘木も充分逮捕出来た犯罪者だと思うが、目の前で罪の無い人間を死に追いやった灘木を、伊達は、法の裁きを受けさせる努力もせずに「闇の制裁」に処した。
そこに重みや痛みを感じていたかどうかは、それが「正義」であるかどうかには全く関係がない。その痛みや重みが免罪符になる訳もない。
法で裁けただろう者を私刑にしておいて「法から逃れた者を裁きながら自分自身を裁いていた」とは随分と勝手な言い草だ。

様々な思わせぶりな伏線を散りばめたに関わらず、上手く回収して膨らませられなかったため、伊達一義というキャラクターは非常に薄っぺらくなってしまった。
伊達のしていることに説得力をもたせようと、「制作側がこう思って欲しいと考えていること」そのものを登場人物に喋らせたり、独りよがりなストーリー展開で伊達に正当性を与えようとしているが、稚拙すぎてどうにも入り込めない。
伊達が「闇の制裁」を行うことに、少しでも視聴者からの共感を得るために、犯人は毎回「情状酌量の余地がないムカつく悪人」。伊達の心情に同情してもらうために、女性受けしそうなウェットなシーンを散りばめてアピール。これでは視聴者の裾野を広げることはできないだろう。

そんな伊達一義に大きな魅力を与えているのは伊達を演じる堺雅人だ。
久遠役の錦戸亮、井筒役の鹿賀丈史もそうだが、これが下手な役者だったら、このドラマはとっくに終っていただろう。このドラマは本当に役者に救われたドラマだ。
堺の持つ「思索に耽っている雰囲気」や「真面目で善人で不器用そうな印象」、「役柄を良く読み込んだ上での繊細な演技」や「茶目っ気たっぷりの遊びの部分」が、脚本の中の薄っぺらい伊達一義を非常に魅力的なキャラクターに変えている。
もはや伊達一義は堺雅人以外の誰にも演じることは出来ない。

おそらくこのドラマは続篇かSPが予定されているだろう。
制作陣の新しい形の主人公を生み出そうとするチャレンジは評価できる。
今後の「ウェットでもマッチョでもない魅力的なダークヒーロー伊達一義」に期待したい。


役者に関して書き始めたので続けてみよう。

このドラマでは、堺、錦戸、鹿賀の3人が牽引役を果たしているのは、誰もが認めるところだろう。そこに、平山、土屋、永岡、佐伯、鈴木、井上ら同僚刑事たちが、しっかりと脇を固めている。
この同僚刑事たちの雰囲気が実に良く、細かいカットであっても手を抜かず、役を読み込んで1つ2つテイストを乗っけてくるから、見てるほうは楽しくて仕方がない。
別に闇の制裁がなくたって刑事モノとして十分面白い作品ができそうだ。

死にゆく冴子を演じたりょうも、このドラマで一番の演技を見せてきた。
伊達が最後に「冴子」と呼ぶのは誰しも予想していたことだと思うが、男勝りで強がっていた冴子の最後の甘えは予想外だったろう。これから伊達との関係でいい演技を沢山見せてくれると思っていただけに大変残念だ。

日向役の忍成修吾も、日向の「刑事としての顔」と「子供っぽくてキレやすい我儘な性格」を上手にモザイクにして、日向の精神異常性をリアルに表現していた。
尾野真千子も、夫を殺された怒りと、日向に対する恐怖と、それらに打ち勝とうとする気の強さを、説得力とリアリティをもって演じていた。非常に難しい役柄だが迫真の演技だった。
飯田基祐が演じる吉住武徳の真っ当さとそれ故の苦しみも、ダラダラしがちな展開にテンションを与えてくれた。
久しぶりの灘木役・斉藤歩も「悪事をフツーに楽しんでる悪党」を巧みに演じていた。伊達に再会したことを純粋に面白がっている灘木の悪党らしい悪党ぶりは、見ていてかえって気持ちが良かった。
宮前史人役の桜山優も、短いカットで「人殺しまでは出来ない男・宮前」を巧みに演じていた。

大杉漣は、第一話から続く三上の得体の知れなさを、最終話に向けてじわりじわりと詰めてきた。
三上が何をしたのか、もしくはしていないのか、大杉自身聞かされてはいないだろう。そんな中で忍耐強く三上を育てていくことは相当なストレスだったと思う。
いよいよ大杉が本領を発揮する見せ場がやってくるに違いない。待ってました!という気分だ。

杏はキャリアから考えると悪くはないのだが、まだ後ろに台本が透けて見える。こういう場面でこういうセリフだったらこういう演技という枠から出ていない。
ただ錦戸と一緒のシーンでは非常にいい演技をする。おそらく相性が良いのだろう。あすかと久遠の不器用な恋愛も見てみたいものだが残り話数では難しいか?
第一話からネタふりをしている「ちゅー」くらいはあるかもしれないが。


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2010年9月3日金曜日

第八話:伏線?セリフ集

(バーMikami。久遠を殴りつける三上)

三上「油断しやがって!なんのための見張りなんだ!」

(うつむく久遠)

三上「腕を撃たれたと言ったんだな」

久遠「ああ…、嘘かもしんねえけど」

三上「おそらく本当だろう。嘘なら殺されたって言えば済む話だからな。だが腕でも止血しなけりゃ、いずれは死ぬ」

久遠「やっぱ日向の仲間の仕業かな?」

三上「それは間違いないだろう」

久遠「だったら日向の後つければ?」

三上「無駄だ。それぐらい奴も読んでるはずだ」

久遠「じゃあどうすりゃいいんだよ」

三上「下手に警察を動かせば、俺達のやってることを何らかの形でバラすかもしれない。俺たちで探すしかない」

久遠「でも携帯の電源も切られてGPSでの追跡も出来ない。何の手がかりも…。あ。そういえば現場に血で”YT”って書かれてた」

三上「”YT”?」

久遠「伊達さんのメッセージかもしんない」

三上「わかった。それは俺が調べる。おまえはいつも通り本部へ行け」

久遠「何でだよ!俺のせいで伊達さんの命危ないのに」

三上「伊達の欠勤はそれなりに波紋を呼ぶ。おまえもいなかったら、それこそ騒ぎになんだろ!…伊達の居場所は俺が必ず探す。いいな」

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(日向、屋上から街を見下ろして)

日向「救世主は一人でいい」

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(捜査一課)

井筒「あれ?伊達は?」

来栖「それが連絡しても繋がらなくて」

滝川「無断欠勤が一度もないのが班長としての唯一褒められるところだったのにぃ」

井筒「しょうがねえなあ、じゃ、班長抜きでやるか」

来栖「わかりました」

(あすか、井筒を見つめる。昨夜、井筒の机から出てきた捜査資料の一部のことを思い出す)

来栖「じゃあ宮城。…おい!」

あすか「あ、はいっ」

来栖「何ボーっとしてんだよ」

あすか「すいません」

(あすか、昨夜の本牧スナック経営者殺人事件の説明を始める)

久遠「でも犯行現場には宮前の足跡があったんだよね?」

あすか「はい。地面にくっきりと残されていました。宮前の靴とも合致しています」

久遠「足跡は靴の種類を特定するだけじゃなくて、靴底の減り具合とかで犯人の割り出しにも有効だからね」

(轟、部外者の久遠が議事進行を取っているのを見てふくれっ面)

堀田「てか、何馴染んでんだよ」

久遠「(にっこり笑って)伊達さんの代わり」

(堀田、毒気を抜かれて負け)

井筒「となると動機のある宮前史人が怪しいか?」

「でも宮前には動機があります」

来栖「逆を言えばアリバイさえ崩せれば一発ってわけだ」

(日向がやってきて捜査資料を手にとる。それを見た久遠の表情が険しくなる)

日向「今度は本牧で殺人事件ですか。どう考えてもこの宮前史人という男の犯行でしょう」

来栖「決め手がねえんだよ。いくら限りなくクロでもな」

(久遠、険しい顔で日向の前まで歩み寄り、日向の手から捜査資料を奪いとる)

久遠「(馬鹿にした口調で)おまえに関係ねえだろ?」

(日向、怒りを込めた目で久遠を睨む。久遠、動じずに日向を睨みつけてから、元いた場所に戻る)

堀田「おまえもな」

(堀田、ごもっともなので勝ち)

日向「(井筒に資料を手渡しながら)江原殺しのその後の資料です」

井筒「はい、ごくろう。”悪人に制裁を”。神隠しって言われてる事件か。進展は?」

日向「いえ…特には。こんなこと言ったら不謹慎かもしれませんが、江原は会社の部下を殺害しています。正義の鉄槌が下ったんじゃないでしょうか?」

井筒「君は殺しを肯定するのか?ホシを捕まえるのが俺達の仕事だろう?」

日向「(少し慌てて)わかってます。失礼します」

(久遠、去っていく日向の後ろ姿をじっと睨みつける)

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<3年前>

(伊達の前に黒塗りの車が止まり、杖をついた灘木が降りてくる)

灘木「久しぶりだな、小僧。まさか刑事になってるとはな」

伊達「何の用だ?」

灘木「決まってるだろ、脅しに来たんだよ。人を刺して罪を逃れた奴が刑事をやってると知れたら世間はどう思うかな?…とりあえず1000万用意しろ」

(埠頭にて。伊達と三上)

三上「あのヤクザがおまえのところに来たということか」

伊達「三上さん、俺は、ずっとあの日から逃げ続けていたような気がするんです。あのときやっぱり罰を受けるべきだったんだ」

三上「…おまえの気持ちはわかった。少し時間をくれ」

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(車の中で久遠を待つ三上。久遠が助手席に入ってくる)

久遠「なんかわかった?」

三上「おまえが言ってた”YT”、イニシャルで調べてみたら、日向と同じ港北西署に吉住武徳という警官がいたよ。吉住と日向は腹違いの兄弟だ」

久遠「兄弟?」

三上「しかも2人とも幼い頃に母親を殺されてる。どちらも保険金殺人の可能性が高かったが立件は出来ていない。容疑者は2人の父親だ。…5年前に俺が裁いた」

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吉住「親父は他にも多くの連中を騙していた。俺達が警官になってやっと親父の居場所を突き止めたときにはもう神隠しにあっていた。俺達は親父に復讐するために今日まで生きてきたんだ。神隠しの真似事をしたのも、おまえらを誘き出して親父のことを聞くためだ。親父が死んでたらそれで踏ん切りをつけるはずだった。だが死んでないなら俺達が殺す。親父の居場所を教えろ」

(伊達の腕の傷をえぐる)

吉住「親父はどこだ!答えろ!」

伊達「おまえたちが裁いた容疑者は捕まえられるはずだった。殺す必要なんてなかった」

吉住「うるさい!俺だって本当はあんなことしたくなかったんだ!」

(伊達、どさくさにまぎれて携帯電話の電源を入れる)

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(バーmikami、冴子がいるところにあすかが入ってくる)

あすか「冴子さん、これ、兄の捜査資料から抜き取られていた1ページです。井筒課長のデスクにありました」

(冴子、資料を見る)

冴子「夏樹が殺害された前日からの足取り…」

あすか「けど、特に重要なことが書かれているとは思いません」

冴子「これ預かっててもいいかな」

あすか「はい。でもなぜ課長はこの1ページだけ抜き取ったんでしょうか?」

冴子「さあ。でもきっと何かある。ここからは慎重に動いたほうがいい」

あすか「はい」

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吉住「意地でも口を割らねえつもりか?それとも喋る気力もないか?…なんで殺さなかった?あんな親父死んで当然だ」

伊達「殺して全てが解決するのか?」

(吉住の携帯に電話が入る)

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(三上の車、伊達が監禁されている建築途中のビルの前で止まる)

久遠「どうやって助けるの?吉住いるんでしょ?」

三上「追い出せばいい」

久遠「そんな簡単に言うなよ」

(三上、久遠の左手を掴み上げて腕時計の時間を見る)

三上「そろそろだな」

久遠「何が?」

(吉住が建物から出て立ち去る)

久遠「吉住…まさかアンタが?」

三上「俺じゃない。吉住のいる所轄のトップだ」

久遠「どういうこと?」

三上「署長直々の呼び出しとあれば行かないわけにはいかねえからな」

久遠「あんた何モンだよ?」

三上「しがないバーのマスターだよ。ほら行くぞ小僧」

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(建物の中に入ると伊達が倒れている)

三上「伊達…」

久遠「伊達さん」

(三上、意識のない伊達の上体を起こす)

三上「伊達!しっかりしろ!伊達!死ぬんじゃねえぞ!おい!伊達!」

(久遠、携帯で救急車を呼ぼうとする)

三上「何してる?救急車呼ぶんじゃねえぞ?俺の知り合いの医者にみせる」

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(冴子、井筒に連絡を取り面会。井筒が隠していた捜査資料を突き出す)

冴子「夏樹の捜査資料で紛失していたページがあなたのデスクにありました」

井筒「忠告したはずだ。これ以上宮城夏樹の事件は追うなって」

冴子「あなたの言うとおり私はとんでもないところに足を踏み入れたのかもしれません」

(井筒、ため息をつく)

冴子「その捜査資料に書かれた夏樹の資料を追っていったら銀行で夏樹が貸し金庫を借りていたことがわかりました」

(井筒、顔を上げる。冴子、バッグから一枚のCD-ROMを取り出す)

冴子「その中にこんなものが」

(井筒の表情がいつになく苦いものに変わり、深く溜め息をつく)

冴子「この中身が何を意味するのか。教えてくれますか」

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日向「(美代子に向かって)もっと誇りに思ってほしいな!俺達がやってることは正義なんだ」

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(久遠部屋。日向を呼び出す久遠。宮前を殺したのはおまえだろうと言う久遠。その時間は美代子の家にいたという日向)

久遠「(日向の襟元を掴み上げて)どこまで遺族を利用すれば気が済むんだよ」

日向「離せよ。君たちがやってることバラしてもいいんだぞ」

久遠「(日向から手を離して)俺はおまえを許さない。絶対裁いてやる」

日向「言っとくけど、伊達さんにはもうムリだよ。迷ったら人を裁けない」

***********************************************************

吉住「おいどうなってるんだ!木本志保を殺したのはスナックのホステスだ!動機は怨恨、罪も認めた」

日向「そうみたいだね。まさか靴を盗んで宮前の犯行に仕立て上げようとしていたなんて」

吉住「よくそんな冷静でいられるな!おまえは何の罪もない人間を殺したんだぞ!」

日向「間違えて殺した宮前だって、たいした価値があったわけじゃない。社会のためにならない人間を殺して何が悪い?」

吉住「おまえ何いってんだ…?神隠しの正体は突き止めたんだ。後は親父の居場所を探せばいい」

日向「兄さん、僕たちは世の中に必要とされているんだよ」

吉住「いいかげんにしろ!俺は模倣犯を続ける気はない!」

日向「怒鳴らないでよ!…ちょっと落ち着こうよ」

(日向、吉住を毒入りミネラルウォーターを飲ませる)

日向「全部兄さんに被ってもらうから」

吉住「どうして…」

日向「アンタも僕の駒に過ぎないんだよ」

(吉住、絶命)

日向「僕は救世主だ」

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(伊達の病室で)

冴子「カズってさ、一度も私のこと名前で読んでくれたことないよね」

伊達「そうだっけ?」

冴子「そうだよ。”君”とか、”片桐くん”とか。そんなのばっか」

伊達「ああ~」

冴子「ああ~って、これだもん、上手く行くわけないよ。…後であすかちゃん来るんでしょ?これ渡しといてくれない?部屋掃除してたらさ、夏樹に借りてたCDが出てきて…」

伊達「なんかあった?」

冴子「ん?」

伊達「顔見ればわかるよ。一応元カレですから」

冴子「(一瞬迷った後おどけた風に)残念ながら単に化粧のノリが悪いだけ。じゃあそろそろ行くわ。またね」

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(伊達の病室。伊達、久遠、あすか)

久遠「仕事は?いいの?」

あすか「これから聞き込みです。お礼を言いに来ただけですから」

久遠「お礼?」

あすか「伊達一義病に感染させられたおかげでスナックの殺人事件の真相にたどり着いたんで」

(伊達、嬉しそうにうなづく)

あすか「それから”悪人に制裁を”…あの一連の事件も被疑者死亡でしたけど解決しましたし」

(伊達と久遠の表情が心持ち暗くなる)

あすか「でも本当に吉住巡査部長が神隠しの正体だったんでしょうか?私にはそうは思えなくて。神隠し…不思議な事件ですよね。いったい何のためにやってるんでしょうか?」

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<3年前>

(車の中。伊達、灘木の写真をめくる)

三上「奴の身辺を探ってみた。5年前に出所してから、おまえの親と同じように借金を背負った人を何人も始末してる。ムショに入っても何も変わらなかったって訳だ。だがパクろうにも証拠がない。死体を隠されちゃこっちも深くは突っ込めないからな」

伊達「そんな…」

三上「そこでだ。これから灘木に会いに行く」

(銃口を伊達に向ける)

三上「麻酔銃だ。こいつで奴を眠らせて、ある場所に連れて行く。そこに閉じ込めて一生自分の罪を償わせるんだ。世間には行方不明で片付けられる」

伊達「それって…」

三上「”神隠し”。警察の間ではそう呼ばれてるらしいな」

伊達「あなただったんですか」

三上「(薄く笑って)おまえなら判るはずだ。警察じゃ追い切れない現実があるってことを」

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(午後8時。誰もいない捜査一課。井筒が何かを決意したように振り返る)

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(青葉の第九倉庫、美代子を殺そうとする日向。そこに現れる伊達と久遠)

伊達「銃を下ろせ」

日向「(美代子に)あなたが呼んだんですか!」

伊達「これ以上罪を重ねるな」

日向「どうして邪魔ばかりするんです!僕はあなたの代わりにやってるだけじゃないですか。あなたは今迷っているはずだ。自分がやっている行いが正義なのかどうなのか」

伊達「俺がやっていることを正義だとは言わない。人は人を裁けない。だがそれでも裁かなきゃいけない現実がある。その重みを判らず人の命を奪うおまえのやり方は間違っている。それは罰することにはならない」

(伊達、日向に銃口を向ける)

伊達「おまえはただの人殺しだ」

日向「この女がどうなってもいいの?社会のクズを始末するのが僕たちの役目だろう!だったら片っ端から殺せばいい。多少の犠牲はしようがないよ」

久遠「俺も一歩間違えればおまえみたいになってた。でも伊達さん見て判ったよ。人の明日を奪うってことが、人を裁くってことが、どんだけ痛みを伴うものなのか。(軽蔑しきった口調で)おまえは伊達さんとは違う」

伊達「法から逃れた者を裁きながら俺はずっと自分自身を裁いていた。これからもそれは変わらない」

日向「そんな正義、僕は認めない!」

伊達「おまえに明日は来ない」

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(伊達に向かって両手を差し出す美代子)

美代子「捕まえてください」

伊達「あなたは今日ここには来なかった。日向とも知り合っていない。あなたには明日を生きてもらいたいんです。あなたが犠牲になることはない。元気な赤ちゃんを産んでください」

美代子「…ありがとうございます」

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(日向を車の後部に乗せて)

久遠「伊達さんの言ってたこと、やっと判った気がするよ。…俺はアンタにはなれない」

(複雑な表情の伊達)

久遠「早くマスターに引渡して、ラーメン食いにいこ」

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<3年前>

灘木「(老人の書いた遺書を見て)上出来だ」

老人「本当に、私が死ねば家族が助かるんですよね?保険金も」

灘木「ああ。だからはやくそれを飲んで楽になれ」

(老人、掌のカプセルを見つめる。そこへ三上と伊達が車で駆けつける)

灘木「サツが何の用だ?」

伊達「その人をどうするつもりだ」

灘木「俺は何もしちゃいない。ただのお付き合いさ。なあ?」

老人「私に構わないでください!」

(老人、カプセルを飲み込む)

三上「おい!」

(三上と伊達、老人に走り寄るが、老人は絶命)

灘木「ははは。そいつはな、自殺をしたんだ。あんたらが証人だ」

(伊達、灘木に麻酔銃の銃口を向ける)

三上「伊達、撃て」

(逡巡する伊達)

三上「おまえのやることは復讐じゃないんだ」

灘木「今度は包丁の代わりに銃か?撃てよ。撃ってみろよ」

三上「伊達!」

(伊達、灘木を撃つ)

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(午後9時。捜査一課にはあすかだけ。冴子から夏樹のものだと言って返されたCDを開くと、そこには「夏樹事件の真相が判るかもしれない。夜9時、根岸の穀物ビルに着て」というメッセージが。慌てて飛び出すあすか)

(一人穀物ビルであすかを待つ冴子。そこにゆっくりと靴音が)

(伊達の携帯に冴子から「ちょっと会えないか?」という電話が入る。様子がおかしいことに気づいた伊達は冴子の元に向う)

(久遠はいつもの待ち合わせの埠頭にいくと三上が待っていた。伊達がいないのは急用のためだと聞いた三上の表情が苦いものに変わる)

(穀物ビル。柱に寄りかかるようにして冴子が足を投げ出している。駆け寄る伊達)

伊達「どうした!」

(夏樹のときと同じように左脇腹を刺されている冴子)

冴子「あたしにしては軽率だったかなあ…」

伊達「何があった?誰にやられた?」

冴子「カズは知らない方がいい…。夏樹も、こうやって、殺されたんだね…」

伊達「(携帯を取り出し)救急車」

冴子「(それを止めて)いいよぉ、もうダメっぽいから」

伊達「何いってんだ。大丈夫だ。心配するな、必ず助かる。助けてみせる。だから…。だから、そんなこと言うなよ”冴子”」

冴子「はじめて名前で呼んでくれたね。カズ…正義ってなんだろね…」

(冴子、涙を零しながら伊達のほうを向いて微笑む)

冴子「(伊達に甘えるように)…カァズ…」

(冴子、絶命する)

伊達「(息絶えた冴子の顔に頬をよせる)冴子…。冴子…」

(あすか、到着)

あすか「冴子さん?」

(あすか、伊達と冴子に近づく)

あすか「伊達さん…?(冴子が絶命していることに気づく)…どうして…?」

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フジテレビ・オン・デマンドジョーカー許されざる捜査官
一話315円、全話1575円

第八話:あらすじ

伊達一義(堺雅人)は、法から逃れた者を殺害していた日向光明(忍成修吾)に撃たれ、負傷する。すると、そこに日向の兄・吉住武徳(飯田基祐)が現れ、伊達が落とした銃を拾い、それが麻酔銃である――つまり、これまで制裁を加えた人間が殺されていないことを知ってしまう。

一方、目を覚ました久遠健志(錦戸亮)は、付近で倒れている日向を見つけ、伊達の所在を尋ねる。しかし、日向は、自分も久遠と同じ男に襲われて倒れていたので知らないとウソをつく。

そんなとき、久遠は伊達のものと思われる血痕を見つけたどっていく――と、血文字で「YT」と書かれた段ボールに行き当たる。

捜査一課では、伊達不在のなか、前夜に起きた木本志保というスナック経営者殺害事件についての会議がはじまった。宮城あすか(杏)は、志保と店の常連客・宮前史人が口論をしていたという証言を報告。すると、宮前にアリバイがあるにもかかわらず、日向は宮前の犯行だろうと、決めつける。

その頃、久遠は三上国治(大杉漣)から、「YT」を指すと思われる吉住が、日向の腹違いの兄だと聞かされる。しかも、ふたりは幼い頃にそれぞれの母親を殺されていて、立件はされていないが、容疑者は父親だったという。そして、5年前、その父親を裁いたのが三上なのだという。

同じ頃、伊達は、吉住から父親の居場所を教えるように、と暴行を受けていた。吉住と日向は、父親を捜し復讐するために刑事になった。そして"神隠し"を模倣したのも、伊達らを誘い出して父親のことを聞くためだったという。父親が殺されていれば、それで納得するつもりだったが、"神隠し"に遭った後、どこかで生きているならば、自分たちの手で殺す――。そういって、吉住は執拗に伊達に父親の居場所を迫った。

そんなとき、吉住の携帯に所轄のトップから連絡が入り、吉住は伊達を残してその場を立ち去る。と、そこへ、やってきたのは久遠と三上だった。吉住に連絡が入ったのは、三上の手まわしだったのだ。ふたりは、倒れていた伊達を救助し、極秘入院させる。

宮城夏樹(丸山智己)殺害事件を追う片桐冴子(りょう)は、井筒将明(鹿賀丈史)を呼びだすと、夏樹が借りていた貸金庫に預けられていたCD-ROMを見つけたことを明かす。そして、その中身が何なのか教えてほしいと迫る。

同じ日の夜、「悪人に制裁を」と書かれたメッセージとともに、宮前が殺害された。犯人は、一連の事件と同様、日向だった。これにより、スナック経営者・志保殺害の件は、被疑者死亡で書類送検されてしまう。しかし、何かが引っ掛かるあすかは、久遠に現場で採取した宮前の足跡の鑑定を頼む。すると、歩数や足の重心のかけ方の違いから、何者かが宮前の靴を履き、足跡を残した上で志保の殺害に及んでいたことがわかった。再度、聞き込みをした結果、店に勤めるホステスが犯行を自供した。

この報告を聞いた吉住は、無実の宮前を殺害した日向を責める。しかし、日向は、世の中は自分たちを必要としている、とまるで悪びれる様子がない。そんな日向に吉住は激怒。すると、日向は吉住に落ち着くように言うと、飲み物を差し出す。そこには毒が入っていて、飲んだ吉住は絶命する。

翌日、冴子は入院中の伊達を訪ねると、あすかに渡して欲しいとCDを差し出す。そんな冴子の表情から何かを感じ取った伊達は、何かあったのか、と尋ねるが、冴子は答えることなく病室を後にする。

一方、死亡した吉住は、日向の工作により、一連の制裁事件の犯人に仕立て上げられたうえ、自殺した、とされてしまう。そんな様子を見ていた日向のもとに、根津美代子(尾野真千子)から連絡が入る。夫を殺害された美代子は、事件を担当した日向に「犯人を殺してやりたい」と言ったばかりに、日向のアリバイ工作に加担させられていた。しかし、思い悩んだ末に、警察に自首することを決めた、と日向に伝えたのだ。日向は美代子に思いなおすように言うが、美代子の決意は固かった。すると、日向はもう一度だけ話がしたいと言って、とある倉庫に美代子を呼び出す。

倉庫にやってきた美代子に、日向は銃口を向ける。と、そこに伊達と久遠が現れた。これ以上、罪を重ねるな、と制止する伊達に、日向は自分は伊達の代わりに制裁行為を行っているだけではないか、と言い放つ。そして、伊達自身が、自分の行いが正義といえるかどうか迷っているはずだ、とたたみかける。伊達は、自分のしていることが正義だとは言わないが、それでも裁かなければいけない現実があるのだ、と反論する。

そのとき、伊達の脳裏に、3年前、初めて制裁を行った日の記憶がよみがえる――。三上に渡された麻酔銃で狙いを定めたのは、伊達の両親のほかにも多くの人間を殺害しながら、法から逃れていた灘木剛士(斎藤歩)だった。"神隠し"に関わっていると知った三上から事情を聞いた伊達は、迷いながらも、ついに発砲した。

そして、伊達は、日向にも麻酔銃を撃つ――。

その頃、捜査一課にいたあすかは、冴子から渡されたCDのケースを開ける。と、中にはCD-ROMと、冴子からのメッセージがあった。

伊達と久遠が、眠らせた日向を車のトランクに積み込んだとき、伊達の携帯が鳴った。相手は冴子だったが、会えないか、というその声からは異変が感じ取れた。伊達は急いで現場に向かうが、冴子は腹部から大量の血を流し瀕死の状態だった。誰にやられた、と聞く伊達に、冴子は「夏樹もこうやって殺されたんだね」と力なく答える。そして、ほどなくして、動かなくなった。

と、そこに、あすかがやって来る――。


(以上公式サイトhttp://www.fujitv.co.jp/JOKER/index.htmlより)


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フジテレビ・オン・デマンドジョーカー許されざる捜査官
一話315円、全話1575円

第八話:概要

放送日: 2010年8月31日
タイトル: 「CRIME8 衝撃の死…伊達最大の危機」
演出: 土方政人


<ゲスト>

日向: 忍成修吾

根津美代子: 尾野真千子

吉住(日向の兄): 飯田基祐


宮前史人: 桜山優

木本志保: 佐野珠美


灘木剛士: 斉藤歩


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