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2010年8月10日火曜日

第四話:感想

 
脚本は今回が一番良かった。
演出も余計なドタバタや効果を入れようとせず、役の心情を引き立たせることに注力していたことに好感がもてた。

このドラマは、「事件発生」(起)-「犯人特定」(承)-「立件不可」(転)-「闇の制裁」(結)という非常に明快な展開をベースとしている。
「水戸黄門」でも観るように視聴者は最初から展開がわかっているわけだ。

毎回陰惨な事件が起こり、遺族の悲しみ苦しみを目の当たりにしながら、伊達たち捜査員は犯人を特定して立件すべく全力を尽くす。
なのに立件を目の前にして何らかの理由で立件を諦めざるを得なくなる。犯人は被害に合うほうが悪いとでも言いたげに高笑い。そうして遺族や捜査員の悔しさが頂点に達したとき、闇の制裁人が犯人に無法の裁きを与えにやってくる。
視聴者は捜査員たちと同じ気持ちになって憤慨し、闇の裁きによって悪いヤツは罰を受けるんだというカタルシスを得る。それがこのドラマにおける「事件のストーリーライン」の在り方でもある。

しかし1~3話までこのカタルシスを与える展開が上手く機能していなかった。
最大の理由は「立件不可」(転)があまりにも練られていなかったせいである。

第一話の「立件不可」の理由は「容疑者の父親が検察のお偉いさんだったから」。
これについては「第一話:正義とは何か」で既に触れた。
実際のところ警察よりも検察が力を持っていることは事実だが、動物殺しがエスカレートして子供殺しにまで至った殺人鬼が、親が検察の上層部にいるという理由だけで無罪になったという展開にはあまりにも無理がある。
奇しくも、森元総理の長男で県議会議員だった祐喜氏が酒気帯び運転でコンビニに突っ込み逮捕されたばかり。現実はこんなものだ。

第二話の「立件不可」の理由は「自白が取れなかったから」。
伊達の48時間耐久取調べは面白かったがストーリー構成自体がまとまりきっておらず、テンポのいい演出と役者の演技力で上手くカバーされてはいたものの、内容はピントのぼけたものになってしまった。
この回で見せたかったものは「犯人は判っているのに証拠も自白もなくて逮捕出来ないやるせなさ」や「失火の疑いで世間から責められる遺族と被害者の関係」、「違法捜査や別件逮捕による取調べに対する伊達・久遠・あすかのスタンス」といったところだろう。
プロットが沢山浮かぶのはいいことだが、医療ミス云々のくだりはいっそカットしてしまったほうが構成にまとまりも出た。

第三話の「立件不可」の理由は「証拠がなかったから」。
山原が死亡推定時刻を操作した証拠となる断熱カーテンは既に焼却されてしまい、捜査本部の設置も却下され、井筒からこの事件は心中事件として処理すると宣言される。ただし第三話の場合、起承転結の「転」は「立件不可」よりも「久遠の暴走」に置かれており、「事件のストーリーライン」から「ジョーカーのストーリーライン」へのクロスが見られる。
第一話から積み重ねられた「繰り返しの暴力で人の心を踏みにじる人間が許せない」「そんな奴が捕まえられずにのうのうとしていることが許せない」という久遠の激しい感情のクライマックスを「転」に持ってきたことで上手くカタルシスを得られる流れに持ってこれた。
しかしこれは「第三話:感想」でも書いた通り、久遠役の錦戸と伊達役の堺の演技力による成果に他ならない。

このドラマのように起承転結の「転」に「立件不可」がくるパターンの場合、2話や3話のように「証拠も自白も取れなかった」というケースが多くなるだろう。

トラディショナルな刑事モノでは「転」に「加害者の感情の発露と自白」が来るので、加害者がなぜそんなことをしたかにさえ説得力があればストーリー構成は難しくない。
時代劇であれば「転」に「手詰まり」を持ってきても、その時代は理不尽なことがまかり通っていたという視聴者との共通認識さえあれば、手詰まり感はどうとでも演出出来る。
現代劇であっても警察組織を離れたアウトロー達の話にしたり、主人公たちが警察官であっても潔くリアリティを切って警察内の闇組織にすれば、まだいくらでも楽な持っていきようがあった。

しかし「ジョーカー」では主人公達の主たる仕事はあくまで正規の警察官としての仕事であり、冒頭でのメッセージにもあるようにフィクションでありながらリアリティを売りにしようとしている。最初から脚本のハードルを上げてしまっているのだ。
であれば「闇の仕事」(結)は現実にはありえない設定でも、それに向けた「事件発生」(起)から「立件不可」(転)に向けた流れに刑事モノとして十分なリアリティを持たせなければ、「転」の盛り上がりも「結」の説得力も成立しなくなってしまう。

「ジョーカー」ではそれを補助するファクターとして警察の権威主義や隠蔽体質、事なかれ主義を盛り込み、そこにリアリティを持たせたいようだが、これも説得力ある「事件のストーリーライン」あってこそ。
井筒役の鹿賀の演技が孤軍奮闘でこのあたりの暗部を想像させる余地を作っているが、このドラマの肝がこの警察の暗部によるものであれば、明らかに登場人物も伏線も足りない。

第四話の事件は前三話と比べると「立件不可」(転)に持って行く流れが非常にスムースだった。
その要因は「立件不可」(転)の要因が「証拠も自白も取れなかった」からではなく「心神喪失で無罪判決が確定していた」ためだ。
11人もの死傷者を出した無差別殺人事件で検察が控訴を断念し地裁レベルで無罪確定となったというところにはリアリティがないが、to be continuedである今回の場合、これも伏線の一つである可能性もあるのとりあえず置いておく。
現行法では無罪が確定してしまった以上、たとえ判決が間違っていても一事不再理効で訴追は出来ない。法律上そうなっているのだから視聴者も「転」への流れに納得しながら観ることが出来る。
こういった「証拠も自白も取れなかった」以外で視聴者が納得しやすい「転」のケースは他に、「公訴時効」「犯罪者引渡し条約のない国の犯人が自国に逃亡」「地位協定によって十分な捜査が出来なかった」などが挙げられる。

今回は演出上も心神喪失を装う犯人椎名と、それを見抜いている伊達の化かし合いが効果的に演出されていて、第二話の犯人との心理戦以上の面白さがあった。
映画「タクシードライバー」のデ・ニーロを思い起こさせる、バックミラーに映る人の心の奥まで覗き込むような伊達の視線。心神喪失でなくても狂人には違いない犯人。
to be continuedへ向かう畳み掛けるような演出も非常に効果的で、次回に向けての高揚感が十分に高まった。

このドラマでは主要キャストにいい役者を揃えているだけでなく、毎回のゲストにも玄人好みな役者をキャスティングしている。今回の犯人役の窪田正孝も、被害者の父親役の甲本雅裕も非常に上手く観ていてあっという間に時間が過ぎた。
中には第一話の小市慢太郎のように演出ミスで役者の良さや上手さが十分に伝わらなかった場合もあるが、細田よしひこ、今井悠貴、鈴木浩介、黄川田将也など、それぞれが視聴者をドラマの中に引きずり込む素晴らしい演技をしていた。

一方で少々残念だったのは杏とりょうだ。
りょうは冴子という役を確実に掴んできているが、いかんせん鹿賀丈史に負けてしまっている。冴子は井筒を追い詰めていく役なので、ぜひとも鹿賀に負けない力を発揮して欲しい。

杏はここにきて役者としてのキャリア不足が響いている。
出番の多くは、堺、錦戸、鹿賀と絡んでいるが、この3人は天性の役者だ。息をするようにその役を演じ、ほんのワンカットで場を自分のものにすることが出来る。錦戸の演技が堺や鹿賀とのシーンを重ねる毎に水を得た魚のように良くなっていくのは、彼が堺や鹿賀と似たタイプの役者だからだ。
役を作って演技をするタイプの役者でも場数と演技の巧みさがあれば、堺たちのような役者の演技を逆に自分のために活かして自分の見せ場を作ってみせるものだが、杏はすっかり呑まれてしまって、それっぽい宮城あすかを演じているだけになってしまった。
回を追うごとにドラマの中の役も成長していくが、あすかは毎回毎回同じあすかでふとした表情や台詞回しにも変化が見られない。
台本に書いてある通りに演じるという意味ではまあ合格点だが、あのキャストの中ではどうしても見劣りしてしまう。伊達の教えひとつひとつに確実に成長していくあすかを見せて欲しい。

「ジョーカーのストーリーライン」については、三上の過去と三上が伊達をどのように思っているか明らかにされた。また昔の井筒と今の井筒の変化も仄めかされている。
伊達に文句を言っているばかりの来栖も伊達を嫌っているわけではなく、刑事らしい正義感を持った人間臭い男であることが見えてきた。吠えるタイプの刑事としては堀田と被ってしまっているが、今後堀田ももっと肉付けがされていくだろう。堀田役の土屋がどんなときにも堀田を丁寧に演じていることには非常に好感が持てる。轟も3人の中では後輩でやや神経質そうなカラーが出てきた。

前回闇の制裁者の仲間になった久遠は今回もいい味を出していた。
伊達を息子のように思ってきた三上が、久遠のことも息子のように思うようになるにはまだ時間が掛かるだろうが、久遠が伊達や三上を誰にも内緒のファミリーのように慕いはじめているのはよくわかるし、闇の制裁者としての仕事にも意義を感じてハマりつつあるのもよく伝わってくる。

纏っていた鎧を解いて助けを求めた久遠を受け止めた伊達も、次第に久遠に正直な心情を見せ始めている。
ただし「こんな思いをするのは自分だけでよかった」と吐露する伊達に「俺も普通じゃないから」と答える久遠との間にはまだ認識のギャップがあるだろう。
久遠の両親についてはまだ触れられていないが、おそらく久遠の目の前で殺されていると思われる。例えその点では同じであっても、久遠は伊達が犯人を殺すつもりで刺したことを知らない。
久遠は伊達が闇の仕事をしているのは、両親を目の前で殺されたことが原因だと思っているだろう。その上で「自分も同じ境遇だから巻き込んだなんて思わなくていいよ」と言いたいのだと思う。

椎名を制裁する場面で、久遠は伊達が制裁を行うときの表情をはじめて見て、伊達の目に悲しみが宿っていることをいとも簡単に見抜いた。
これからも久遠はその観察力と頭の回転の早さで本当の伊達を明らかにしていくだろう。そして伊達も久遠の前では張り付いた笑顔の仮面を維持出来なくなっていくに違いない。

さて、最後に犯人椎名が最後に残した言葉だが、彼の持っていたコインが両面表だったことが伏線になっていると思われる。
伊達たちの仕事は、表が警察官、裏が闇の制裁者。椎名についているのは表の警察組織そのものなのかもしれない。
検察が控訴を断念して地裁レベルで無罪確定させたのも、闇の制裁者が狙ってきそうな凶悪犯を泳がすことが目的だったのかもしれない。
そのあたりは第五話で多少でも明らかになるのだろうか。

ちなみにコインに書いてあった文字はCRISTINA FERNANDEZ DE KIRCHNER」。
クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル、現アルゼンチン大統領の名前だ。
なぜ彼女の名前を使ったのかはわからないが、あまり本編には関係なさそうだ。

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フジテレビ・オン・デマンド「ジョーカー許されざる捜査官」
一話315円、全話1575円

2010年8月9日月曜日

第四話:伏線?セリフ集

 
三上「何考えてんだよ、こんな奴勝手に引き入れて」

久遠「だからぁ俺が伊達さんの考えに共感して…」

三上「小僧は黙ってろ!おまえのせいで5年やめてたタバコに火ぃつけちまったんだぞ」

久遠「知るかよそんな」

三上「何だその口の聞き方は!」

伊達「…似てたんですよ。昔の俺に。あなたが手を差し伸べてくれなかったら俺は路頭に迷ってた。だから放っておけなかったんです」

(久遠、素の自分に触れる伊達の言葉に、どことなく居心地悪そうに下を向く)

三上「いいか?人が増えるってことはそれだけリスクを伴うってことなんだぞ。わかってんのか?」

伊達「覚悟してます。(ストローを刺したグラスを3つ差し出す)…特製いちごミルク」

(三上、伊達の決意の固さに仕方がないなというように軽く笑い、振り向きざまに久遠の髪の毛を引っ掴んでソファに押し倒す)

久遠「ちょっ」

三上「足引っ張んなよ!小僧!」

久遠「髪引っ張んなよ!おっさん!」

三上「おっさんじゃねえ!マスターだ!」

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久遠「徹夜で出勤かぁ、つらいネ」

伊達「…誰も巻き込みたくなかった」

(久遠、不思議そうな顔で振り返り伊達を見る)

伊達「こんな思いをするのは、俺だけでよかったんだよ」

(久遠、伊達の言いたいことを一瞬考え、やがて合点が言ったようにニヤリと笑う)

久遠「だから言ったじゃん。俺も普通じゃねーって(伊達の肩をポンと叩く)」

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久遠「この女子高生、皆瀬桃子だけは3回刺されてる。この子だけは絶対仕留めたかったんだよ」

伊達「つまり顔見知りの犯行だったと?」

久遠「事件当時もおんなじ指摘を上にしたの。でも捜査本部は無差別の線を疑おうとはしなかった」

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伊達「椎名の無罪は確定してる。追っても無駄だよ」

久遠「一事不再理でしょ?一度無罪が確定したら例え新たな証拠が出てきても被告人に不利な場合判決は覆らない」

伊達「そこまでわかってるんだったら」

久遠「だから話してんだよ。もし椎名に皆瀬桃子を殺す動機が見つかったら心神喪失じゃない可能性だって出てくる。つまり…法から逃れた犯罪者だ」

(伊達、難しそうな顔で久遠を見る)

久遠「俺は確信してる。椎名高弘は心神喪失なんかじゃない。…俺達が裁くんだよ」

(薄く笑う久遠、伊達は難しい表情のまま)

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井筒「休暇ねぇ」

伊達「調べたい事件がありまして」

井筒「例の無差別殺人か。どんなに足掻いてもひっくり返らねえぞ」

伊達「真実の前に法も糞もない!…ってこれ課長の言葉でしたよね?」

井筒「ふふふ、いちいち昔の俺を引き合いに出すんじゃないよ」

伊達「それくらいあの頃の課長に憧れていたってことですよ」

井筒「今違うっていうの?」

伊達「………」

井筒「よし。3日だけだぞ。…おまえ班長だからね?」

伊達「ありがとうございます」

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<10年前>

井筒「(伊達の頭をガシッと掴んで)おまえか新入りは?係長の井筒だ。よろしくチャン」

伊達「山ノ手署から来ました!伊達一義です(頭を下げる)

井筒「知ってるよ。三上のコネとはいえたった3年で県警本部の一課だ。たいした出世だなあ」

伊達「三上さんのことをご存知なんですか?」

井筒「ああ。おまえの教育係を頼まれた。このヤマ追うぞ(伊達にファイルを渡す)」

伊達「でもこれ、既に時効が成立してますけど」

井筒「それがどうした。真実の前に法も糞もないんだよ」

伊達「(居住まいを正し)はい!」

(井筒、伊達をしっかり見つめてうなづく)

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あすか「井筒課長と同じ年齢なんですか?」

三上「ああ。彼とはよく現場で顔をあわせてねえ。誰もが憧れる存在だった」

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あすか「来栖さんたちの下に付いて良っくわかりましたよ。私がいかに伊達さんに何にも教えてもらってなかったかって」

久遠「伊達さんは背中で語るタイプだから」

あすか「ははっ、なで肩で何を語るって言うんですか」

(伊達、部屋に入ってきて)

伊達「なで肩で悪かったねえ」

(あすか驚いてお茶をむせる)

久遠「どうだった?」

伊達「皆瀬桃子の自宅、高校、通ってた予備校、行ってみたけど椎名との接点は何もなかった」

あすか「無差別殺人洗いなおしてるって本当だったんだ」

伊達「(あすかの呟きはスルーで)皆瀬桃子の携帯電話借りてきた。事件を担当してた所轄に聞いたら被害者の携帯電話まで調べてないって」

久遠「まあ無差別の線で進めてたんなら椎名の身辺しか洗わないだろうからね」

あすか「久遠さんも伊達さんに協力してるんですか?」

久遠「いや逆逆、俺が頼んだの、気になることがあって」

(伊達、あすかの疑問に対して完全スルー)

あすか「…何かわかったんですか?」

久遠「(再び皆瀬桃子の携帯に目を落とし)まあね。どっちにしたって判決は覆んないだろうけど」

伊達「あ~これこれこれ!おととしの5月13日…」

(自分そっちのけで話を続ける伊達と久遠に、あすかは不満そうに頬を膨らませる)

***********************************************************

(休暇中なので身分を明かさないままカラオケ店で聞き込みをする伊達。防犯カメラを見せて欲しいと頼むが断られる。そこに突然あすかが現れて)

あすか「(警察手帳を見せ)これでも駄目ですか?」

カラオケ店店長「あ…刑事さんなんですかぁ。どうぞぉ」

(あすか、伊達に向かって軽くピースサイン)

伊達「え~どうして?」

あすか「遺族が真実を知りたい気持ち、わかりますから。来栖さんたちには見回りって言ってあります」

伊達「ありがとお」

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あすか「マスターはいないんですか?神隠しに合わせたい人間」

三上「そんな人いる訳ないじゃない」

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<10年前>

井筒「おまえさあ」

伊達「はい」

井筒「シゲハルって知ってる?」

伊達「いえ知りません。誰ですか?」

井筒「シゲハルっていうのは三上の息子の名前だ。15年前、三上はそのシゲハルと奥さんを殺された。犯人はまだ捕まってない。目星は付いてるが証拠がない。だから捕まえたくても捕まえられない」

伊達「15年前…」

井筒「その事件の1ヶ月後、三上はおまえと出会った。しかもシゲハルとは同じ年。三上がおまえを息子に重ねても不思議はない」

(伊達、はじめて聞いた話に驚いた様子)

井筒「だからおまえと出会ってなかったら、三上は、犯人を殺していたかもしれない。子供を殺された親っていうのは何をするかわかんねえからな」

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来栖「(怒りをこらえた低い声で)なんで大勢を殺した人間を守らなきゃいけねえんだよ」

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あすか「皆瀬さん、馬鹿なまねはやめてください」

皆瀬「もう後には引けない」

あすか「そんなことありません。まだ間に合います」

皆瀬「何がだ?娘が殺されて、椎名が無罪になって一体何が間に合うっていうんだ!」

(皆瀬、あすかのそばにしゃがみ込む)

皆瀬「何で法律で裁けない?被害者遺族全員がそう思ってるはずだ。どうして、あいつが無罪なんだって!…だから俺がやるしかないんだ」

あすか「椎名を刺してもあなたがもっと傷つくだけなんです!」

皆瀬「うるさい!俺の気持ちなんか…」

あすか「わかります!わかるから辛いんです。私も兄を殺されました」

(皆瀬の表情が驚愕に変わる)

あすか「憎んでも何も救われなかった。だから信じることにしたんです。この先に待ってるのが絶望じゃないって。信じたいんです!」

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椎名「どうして他に10人も刺したか教えてやるよ。心神喪失を装うためさ。大勢殺したほうがイカれてると思われるからな。おかげで俺は無罪。…悔しいだろう?自白してんのに捕まえられねえんだもんなあ」

伊達「君には桃子さんとの接点も動機もある。あの殺人は計画的犯行だった。…さっきのテストは全部デタラメだよ」

(椎名の顔色が変わる)

伊達「僕は君に嘘をついた。すまなかった」

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(椎名が心神喪失でないことを知った皆瀬は包丁で椎名を刺そうとする。その腕と包丁の歯を伊達が素手で止める)

伊達「桃子さんがどうしてバイトをはじめたかご存知でしたか?」

(久遠が桃子の残したメッセージビデオを流す。そこには桃子から父親への感謝の気持ちが遺されていた)

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(被害者遺族の殺人予告から守っていた椎名を無断で連れ出したことで)

来栖「謹慎おめでとう!異動もあるかもなあ」

(伊達、まあそれも仕方ないという表情)

来栖「…まぁ…俺がおまえでも…同じことしたけどな…」

(来栖、伊達の上腕を喝を入れるように強く殴る)

伊達「いった!」

(しっかりしろよとでも言いたげに伊達を睨みつけ去っていく来栖。伊達、少々照れくさそうに微笑む)

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伊達「(携帯電話で)いま椎名が病院に戻りました」

三上「(携帯電話で)わかった。何とかする」

(あすかが歩いてくる)

伊達「手続きは?終わった?」

(あすかは答えず俯いたまま)

あすか「…どうして、被害者が加害者にならなきゃいけないんですか?どうしたら遺族を救ってあげることが出来るんですか?!」

(伊達、皆瀬の包丁で怪我をした掌をあすかの目の前にかざす)

伊達「…休暇中料理してたらざっくり切っちゃった」

(あすか不思議そうな表情)

伊達「そういうことで宜しく(車のキーをあすかに渡す)」

(あすか、去っていく伊達の背中を見ながら何かを考える)

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井筒「手短かに頼むよ。今日は結婚記念日なんだ」

冴子「どうして警察は神隠しを追わないんですか?」

井筒「失踪届の出ている人間はちゃんと探してるよ」

冴子「前にも言いましたよね。5年で17人の容疑者が行方不明になっているんです。警察だって気づいてるはずです。調査本部を設置しても不思議じゃありません」

井筒「死体でも上がらない限り本部を設置することが出来ないことぐらい、君もわかってるはずだ」

冴子「椎名高弘も神隠しにあう可能性があります」

井筒「…長くなりそうだな。お茶でも持ってこよう」

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(あすか、調書を読み上げている)

あすか「あなたは脅迫状を送りつけて伊達警部に椎名をライブハウスに連れてくるように指示しましたね」

皆瀬「…はい」

あすか「あなたは一人で椎名を待っていた」

(皆瀬、事実と違うことを言われて顔を上げる)

あすか「そして…」

皆瀬「待ってください。一人って私はあなたを…」

あすか「何の話ですか?私は今日一日家で寝てましたけど。…あなたの罪は脅迫罪のみとなります。起訴は免れませんがおそらく執行猶予がつくはずです」

皆瀬「どうして…」

あすか「(皆瀬に近づいて小声で)なで肩の上司の背中からそう教わりました」

皆瀬「…すみませんでした」

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(井筒が戻ってこないことに気づき捜査一課に走る冴子)

来栖「久しぶりに飲みに行くか」

堀田「いいっスねえ。このあいだの店、あそこにしましょう」

冴子「チッ、3バカ…」

来栖「あれ?あんた、確かルポライターの…」

冴子「か・た・ぎ・り。井筒課長は?」

来栖「今帰ったけど。用があるって」

(冴子、何かに気づく)

冴子「…椎名?」(慌てて捜査一課を飛び出す冴子)

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(深夜極秘に退院した椎名がトンネルを歩いている。背後から足音がして伊達が現れる。前方からは車が道を塞ぐように停車し運転席から久遠が現れる。ゆっくりと武器となるコンクリートを拾う椎名)

椎名「まだ何か用?」

伊達「おまえは桃子さんを含む11人の死傷者を出しておきながら、心神喪失と偽って法から逃れた」

椎名「…またか。何度も言ってるだろう。俺は無罪なんだよ。おまえらがどんなに足掻いても無駄なの。あんなに殺しても何の罪にも問われない」

(椎名、コインの表側をかざす)

椎名「言ったろ?俺は選ばれた人間なんだよ。俺を裁くことなんて出来ないの」

(伊達、椎名に銃口を向ける)

伊達「だから俺が裁く」

(椎名、怒りに燃えた目でコンクリートブロックを片手に伊達に向かっていく)

椎名「ふざけんな…ふざけんな…ふざけんな!」

伊達「おまえに明日はこない」

(伊達、引き金を引く。久遠、そんな伊達の姿を見つめたまま、椎名が倒れているところまでゆっくり歩いてくる)

久遠「…なんでそんな悲しそうに撃つの?」

(伊達、驚いて久遠を見つめ、表情を強ばらせて視線を逸らす。久遠はそれ以上は触れず倒れている椎名を運ぶため椎名の腕を取る。その瞬間、椎名が逆に久遠の手首を強く掴んだ)

椎名「俺が精神鑑定で心神喪失を装えたって本気で思ってんのか?」

(狂気の瞳で手首をきつく掴んで引き寄せようとする椎名に久遠は恐怖心を抱く。伊達は椎名の意味深な言葉に眉を顰める)

椎名「ははっ、おまえらは何にもわかってないよ、ははは…ははははっ、ぎゃははは…!」

(久遠、懸命に椎名の手を外そうとするがなかなか解けない。椎名の狂気を目の当たりにした久遠は恐怖で慌てはじめる)

久遠「離せよっ!」

(久遠、腕を思い切り引っ張って椎名の手を振りほどき、そのまま椎名の顔面を蹴り飛ばす)

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(冴子、椎名が入院していた病院に向かう)

看護婦A「椎名さん、退院なんておかしいよね」
看護婦B「しかも深夜に裏口からって…」

(看護婦の会話を聞いた冴子は病院の裏口に向かうが椎名の姿はない。そのまま外へ出て椎名の姿を探す。伊達たちが椎名を拉致したトンネルまで来て、椎名がいつも表裏占いで使っていたコインを見つける。裏返してみるとそのコインは両方が「表」だった)

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(埠頭で椎名を三上に引き渡す。三上の車が去っていくのを見送りながら)

久遠「ねえ。奴ら閉じ込めてる場所ってどこにあんの?」

伊達「さあ」

久遠「さあって」

伊達「俺の役目は法で裁けなかった人間をここに連れてくるところまでだ。そのあとどうなってるか知らないし知りたいとも思わない」

(伊達、そういって踵を返す。久遠、伊達の背を見つめた後、椎名が久遠の手首につけた指の痕を見て、椎名が乗った車の方向に目をやる)

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冴子「椎名が行方不明になりました」

皆瀬「そうらしいですね」

冴子「心当たりありませんか?警察に何か言われたとか」

(皆瀬が連行されるシーン。
久遠「椎名は俺達が始末する。一生あんたの前に現れることはない。だからあんたは娘のぶんも生きるんだ」)

皆瀬「いいえ。私は何も知りません」

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(バーmikamiの掃除をする久遠。カウンターには伊達。カウンターの中には三上)

久遠「どうやって椎名を強制退院させたの?」

三上「おまえに話すことは何もねえよ」

久遠「CIAクラスのバックがついてるとか?」

三上「馬鹿なこと言ってねえで手ぇ動かせよ!」

(三上、考え込んでいる様子の伊達に気づく)

三上「どうした?」

伊達「椎名の最後の言葉…(伊達の脳裏に椎名の言葉が蘇る)」

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フジテレビ・オン・デマンド「ジョーカー許されざる捜査官」
一話315円、全話1575円

2010年8月4日水曜日

第四話:あらすじ

法から逃れた者に制裁を加えていた伊達一義(堺雅人)は、その行為に久遠健志(錦戸亮)を巻き込んだことを三上国治(大杉漣)から責められる。伊達は、久遠が昔の自分に似ていて放っておけなかったと弁明する。

その頃、11人を死傷させた無差別殺人犯・椎名高弘(窪田正孝)に心神喪失が認められ、無罪の判決が下った。

久遠は、事件発生当初から被害者のうち女子高生・皆瀬桃子(金澤美穂)だけが3度も刺されていることを問題視。もしも桃子を狙った犯行ならば、心神喪失は偽装になるのでは、と指摘していた。しかし、無差別殺人の路線が崩されることはなかった。

そんな久遠の話を聞いた伊達は、確定した無罪が覆ることはないと知りつつも、3日間の休暇を取ると桃子の自宅へ。しかし、桃子の父・士郎(甲本雅裕)は、桃子と椎名に接点はなかったはずだと答える。

その後、桃子の携帯電話を調べると、友人・柏木奈美(近藤未来)から「店にあいつが来ていた」というメールを受信していたことがわかる。伊達は、奈美が働くカラオケ店を訪ねるが、奈美はメールを覚えていなかった。さらに伊達は店長(まいど豊)に、防犯カメラの映像を見せてくれと頼むが、休暇中で刑事だと言えないため拒否される。すると、宮城あすか(杏)が現れ、スッと警察手帳を掲げた。

伊達とあすかは、映像を丁寧に調べていくが、なかなか収穫は得られない。が、夜も更けたとき、ある映像が伊達の目に止まる。それは、喫煙で補導された3人組の高校生で、そのなかのひとりが椎名だった。さらに映像から、店で働く桃子と、姿は隠れていたが士郎がいたこともわかった。

士郎は、桃子に傘を届けに行ったとき、喫煙する高校生を見て注意をしたが、3人が反抗的な態度を取ったため警察を呼んだと証言。その後、補導された椎名が高校を退学させられたと聞いた士郎は、それなら自分への復讐のために娘を殺したことになるし、心神喪失は偽装になるから裁判をやり直してほしいと訴える。しかし伊達は、新たな証拠が出てもそれが被告人に不利になる場合は認められないのだ、と法律の限界を説明する。

そんな翌日、椎名が収容されている病院に、「椎名高弘を殺害する」と書かれた脅迫状が届けられ、指紋から士郎の犯行だと断定される。椎名の身に危険が及んでいることから、県警本部で椎名を保護することに。早速、護送されてきた椎名は会議室で待機していた。そこへ、やってきたのは伊達だった。伊達は椎名に声をかけるが、心神喪失を装うかのように椎名は答えない。そんなとき、伊達の携帯が鳴った。それは士郎からで、あすかを人質に取っているから、椎名を連れてあるライブハウスまで来いと言う。県警本部にいる椎名を連れ出せない、と答えた伊達に、士郎は何としても連れて来いといって電話を切る。それを聞いていた椎名は、「一緒に行ってあげるよ」と不敵な笑みを見せる。

「椎名を少し借ります」というメモを残すと、椎名を車に乗せ、伊達はライブハウスへと向かう。車中、椎名は桃子を殺害した動機を、自分の人生を台無しにした士郎の惨めな姿を見たかったからだと明かす。伊達は、さらに椎名が桃子に好意を持っていたことを言い当てる。思わず核心を突かれ興奮した椎名は、心神喪失を装うために、桃子以外に10人を刺したのだと遂に認めた。

ライブハウスに着いた伊達は、椎名を士郎に対面させる。椎名は怒りに震える士郎をバカにし、さらに桃子のことも侮蔑した。怒りが抑えられない士郎は、持っていた包丁を構えると椎名に向かい突進して行く――と、それを受け止めたのは伊達の右手だった。

やがて、来栖淳之介(平山浩行)らが現場に到着。士郎は、手錠をかけられ連行される。その姿を見て、椎名はまたも暴言を吐く。

その後、椎名が病院に戻ったことを確認した伊達は、その旨を三上に報告する。

するとその日の夜、椎名は医師らに言われ急きょ退院することに。マスコミ対策のため、深夜に裏口から出てくれと言われ、椎名はひとり病院を後にする。しかし、この退院は三上が仕組んだ罠だった。

同じ頃、片桐冴子(りょう)は、井筒将明(鹿賀丈史)に会い、どうして警察は"神隠し"を追わないのか、と迫まるが、明確な答えは得られずにいた。

椎名が深夜の街を歩いていると、後ろから黒づくめの伊達が、前方からは久遠が現れた。そんな伊達らに、自分は選ばれた人間だからあんなに殺しても罪に問われない、とまったく悪びれた様子を見せない椎名。伊達は、そんな椎名に銃口を向け、だったら自分が裁くと言って発砲する。撃たれて地面に倒れた椎名は、意識が朦朧とするなか、自分が精神鑑定で心神喪失を装えたと本気で思っているのか、と意味深な言葉を残す。

その後、埠頭で待っていた三上に椎名を引き渡すと、久遠が制裁を下された者たちはどこに閉じ込められているのか、と伊達に疑問を投げかける。しかし、伊達は、自分は知らないし知りたいとも思わない、と答えるだけだった。

その後、バーに戻った伊達は、椎名の意味深な発言に何か引っかかりを感じ…。

(以上公式サイトhttp://www.fujitv.co.jp/JOKER/index.htmlより)


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第四話:概要

放送日: 2010年8月3日
タイトル: 「CRIME4 無差別殺人に隠されたナゾ」
演出: 石川淳一


<ゲスト>

椎名高弘: 窪田正孝

皆瀬士郎: 甲本雅裕

皆瀬桃子: 金澤美穂


カラオケ店店長: まいど豊

柏木奈美: 近藤未来


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