2010年8月9日月曜日

第四話:伏線?セリフ集

 
三上「何考えてんだよ、こんな奴勝手に引き入れて」

久遠「だからぁ俺が伊達さんの考えに共感して…」

三上「小僧は黙ってろ!おまえのせいで5年やめてたタバコに火ぃつけちまったんだぞ」

久遠「知るかよそんな」

三上「何だその口の聞き方は!」

伊達「…似てたんですよ。昔の俺に。あなたが手を差し伸べてくれなかったら俺は路頭に迷ってた。だから放っておけなかったんです」

(久遠、素の自分に触れる伊達の言葉に、どことなく居心地悪そうに下を向く)

三上「いいか?人が増えるってことはそれだけリスクを伴うってことなんだぞ。わかってんのか?」

伊達「覚悟してます。(ストローを刺したグラスを3つ差し出す)…特製いちごミルク」

(三上、伊達の決意の固さに仕方がないなというように軽く笑い、振り向きざまに久遠の髪の毛を引っ掴んでソファに押し倒す)

久遠「ちょっ」

三上「足引っ張んなよ!小僧!」

久遠「髪引っ張んなよ!おっさん!」

三上「おっさんじゃねえ!マスターだ!」

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久遠「徹夜で出勤かぁ、つらいネ」

伊達「…誰も巻き込みたくなかった」

(久遠、不思議そうな顔で振り返り伊達を見る)

伊達「こんな思いをするのは、俺だけでよかったんだよ」

(久遠、伊達の言いたいことを一瞬考え、やがて合点が言ったようにニヤリと笑う)

久遠「だから言ったじゃん。俺も普通じゃねーって(伊達の肩をポンと叩く)」

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久遠「この女子高生、皆瀬桃子だけは3回刺されてる。この子だけは絶対仕留めたかったんだよ」

伊達「つまり顔見知りの犯行だったと?」

久遠「事件当時もおんなじ指摘を上にしたの。でも捜査本部は無差別の線を疑おうとはしなかった」

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伊達「椎名の無罪は確定してる。追っても無駄だよ」

久遠「一事不再理でしょ?一度無罪が確定したら例え新たな証拠が出てきても被告人に不利な場合判決は覆らない」

伊達「そこまでわかってるんだったら」

久遠「だから話してんだよ。もし椎名に皆瀬桃子を殺す動機が見つかったら心神喪失じゃない可能性だって出てくる。つまり…法から逃れた犯罪者だ」

(伊達、難しそうな顔で久遠を見る)

久遠「俺は確信してる。椎名高弘は心神喪失なんかじゃない。…俺達が裁くんだよ」

(薄く笑う久遠、伊達は難しい表情のまま)

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井筒「休暇ねぇ」

伊達「調べたい事件がありまして」

井筒「例の無差別殺人か。どんなに足掻いてもひっくり返らねえぞ」

伊達「真実の前に法も糞もない!…ってこれ課長の言葉でしたよね?」

井筒「ふふふ、いちいち昔の俺を引き合いに出すんじゃないよ」

伊達「それくらいあの頃の課長に憧れていたってことですよ」

井筒「今違うっていうの?」

伊達「………」

井筒「よし。3日だけだぞ。…おまえ班長だからね?」

伊達「ありがとうございます」

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<10年前>

井筒「(伊達の頭をガシッと掴んで)おまえか新入りは?係長の井筒だ。よろしくチャン」

伊達「山ノ手署から来ました!伊達一義です(頭を下げる)

井筒「知ってるよ。三上のコネとはいえたった3年で県警本部の一課だ。たいした出世だなあ」

伊達「三上さんのことをご存知なんですか?」

井筒「ああ。おまえの教育係を頼まれた。このヤマ追うぞ(伊達にファイルを渡す)」

伊達「でもこれ、既に時効が成立してますけど」

井筒「それがどうした。真実の前に法も糞もないんだよ」

伊達「(居住まいを正し)はい!」

(井筒、伊達をしっかり見つめてうなづく)

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あすか「井筒課長と同じ年齢なんですか?」

三上「ああ。彼とはよく現場で顔をあわせてねえ。誰もが憧れる存在だった」

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あすか「来栖さんたちの下に付いて良っくわかりましたよ。私がいかに伊達さんに何にも教えてもらってなかったかって」

久遠「伊達さんは背中で語るタイプだから」

あすか「ははっ、なで肩で何を語るって言うんですか」

(伊達、部屋に入ってきて)

伊達「なで肩で悪かったねえ」

(あすか驚いてお茶をむせる)

久遠「どうだった?」

伊達「皆瀬桃子の自宅、高校、通ってた予備校、行ってみたけど椎名との接点は何もなかった」

あすか「無差別殺人洗いなおしてるって本当だったんだ」

伊達「(あすかの呟きはスルーで)皆瀬桃子の携帯電話借りてきた。事件を担当してた所轄に聞いたら被害者の携帯電話まで調べてないって」

久遠「まあ無差別の線で進めてたんなら椎名の身辺しか洗わないだろうからね」

あすか「久遠さんも伊達さんに協力してるんですか?」

久遠「いや逆逆、俺が頼んだの、気になることがあって」

(伊達、あすかの疑問に対して完全スルー)

あすか「…何かわかったんですか?」

久遠「(再び皆瀬桃子の携帯に目を落とし)まあね。どっちにしたって判決は覆んないだろうけど」

伊達「あ~これこれこれ!おととしの5月13日…」

(自分そっちのけで話を続ける伊達と久遠に、あすかは不満そうに頬を膨らませる)

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(休暇中なので身分を明かさないままカラオケ店で聞き込みをする伊達。防犯カメラを見せて欲しいと頼むが断られる。そこに突然あすかが現れて)

あすか「(警察手帳を見せ)これでも駄目ですか?」

カラオケ店店長「あ…刑事さんなんですかぁ。どうぞぉ」

(あすか、伊達に向かって軽くピースサイン)

伊達「え~どうして?」

あすか「遺族が真実を知りたい気持ち、わかりますから。来栖さんたちには見回りって言ってあります」

伊達「ありがとお」

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あすか「マスターはいないんですか?神隠しに合わせたい人間」

三上「そんな人いる訳ないじゃない」

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<10年前>

井筒「おまえさあ」

伊達「はい」

井筒「シゲハルって知ってる?」

伊達「いえ知りません。誰ですか?」

井筒「シゲハルっていうのは三上の息子の名前だ。15年前、三上はそのシゲハルと奥さんを殺された。犯人はまだ捕まってない。目星は付いてるが証拠がない。だから捕まえたくても捕まえられない」

伊達「15年前…」

井筒「その事件の1ヶ月後、三上はおまえと出会った。しかもシゲハルとは同じ年。三上がおまえを息子に重ねても不思議はない」

(伊達、はじめて聞いた話に驚いた様子)

井筒「だからおまえと出会ってなかったら、三上は、犯人を殺していたかもしれない。子供を殺された親っていうのは何をするかわかんねえからな」

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来栖「(怒りをこらえた低い声で)なんで大勢を殺した人間を守らなきゃいけねえんだよ」

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あすか「皆瀬さん、馬鹿なまねはやめてください」

皆瀬「もう後には引けない」

あすか「そんなことありません。まだ間に合います」

皆瀬「何がだ?娘が殺されて、椎名が無罪になって一体何が間に合うっていうんだ!」

(皆瀬、あすかのそばにしゃがみ込む)

皆瀬「何で法律で裁けない?被害者遺族全員がそう思ってるはずだ。どうして、あいつが無罪なんだって!…だから俺がやるしかないんだ」

あすか「椎名を刺してもあなたがもっと傷つくだけなんです!」

皆瀬「うるさい!俺の気持ちなんか…」

あすか「わかります!わかるから辛いんです。私も兄を殺されました」

(皆瀬の表情が驚愕に変わる)

あすか「憎んでも何も救われなかった。だから信じることにしたんです。この先に待ってるのが絶望じゃないって。信じたいんです!」

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椎名「どうして他に10人も刺したか教えてやるよ。心神喪失を装うためさ。大勢殺したほうがイカれてると思われるからな。おかげで俺は無罪。…悔しいだろう?自白してんのに捕まえられねえんだもんなあ」

伊達「君には桃子さんとの接点も動機もある。あの殺人は計画的犯行だった。…さっきのテストは全部デタラメだよ」

(椎名の顔色が変わる)

伊達「僕は君に嘘をついた。すまなかった」

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(椎名が心神喪失でないことを知った皆瀬は包丁で椎名を刺そうとする。その腕と包丁の歯を伊達が素手で止める)

伊達「桃子さんがどうしてバイトをはじめたかご存知でしたか?」

(久遠が桃子の残したメッセージビデオを流す。そこには桃子から父親への感謝の気持ちが遺されていた)

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(被害者遺族の殺人予告から守っていた椎名を無断で連れ出したことで)

来栖「謹慎おめでとう!異動もあるかもなあ」

(伊達、まあそれも仕方ないという表情)

来栖「…まぁ…俺がおまえでも…同じことしたけどな…」

(来栖、伊達の上腕を喝を入れるように強く殴る)

伊達「いった!」

(しっかりしろよとでも言いたげに伊達を睨みつけ去っていく来栖。伊達、少々照れくさそうに微笑む)

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伊達「(携帯電話で)いま椎名が病院に戻りました」

三上「(携帯電話で)わかった。何とかする」

(あすかが歩いてくる)

伊達「手続きは?終わった?」

(あすかは答えず俯いたまま)

あすか「…どうして、被害者が加害者にならなきゃいけないんですか?どうしたら遺族を救ってあげることが出来るんですか?!」

(伊達、皆瀬の包丁で怪我をした掌をあすかの目の前にかざす)

伊達「…休暇中料理してたらざっくり切っちゃった」

(あすか不思議そうな表情)

伊達「そういうことで宜しく(車のキーをあすかに渡す)」

(あすか、去っていく伊達の背中を見ながら何かを考える)

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井筒「手短かに頼むよ。今日は結婚記念日なんだ」

冴子「どうして警察は神隠しを追わないんですか?」

井筒「失踪届の出ている人間はちゃんと探してるよ」

冴子「前にも言いましたよね。5年で17人の容疑者が行方不明になっているんです。警察だって気づいてるはずです。調査本部を設置しても不思議じゃありません」

井筒「死体でも上がらない限り本部を設置することが出来ないことぐらい、君もわかってるはずだ」

冴子「椎名高弘も神隠しにあう可能性があります」

井筒「…長くなりそうだな。お茶でも持ってこよう」

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(あすか、調書を読み上げている)

あすか「あなたは脅迫状を送りつけて伊達警部に椎名をライブハウスに連れてくるように指示しましたね」

皆瀬「…はい」

あすか「あなたは一人で椎名を待っていた」

(皆瀬、事実と違うことを言われて顔を上げる)

あすか「そして…」

皆瀬「待ってください。一人って私はあなたを…」

あすか「何の話ですか?私は今日一日家で寝てましたけど。…あなたの罪は脅迫罪のみとなります。起訴は免れませんがおそらく執行猶予がつくはずです」

皆瀬「どうして…」

あすか「(皆瀬に近づいて小声で)なで肩の上司の背中からそう教わりました」

皆瀬「…すみませんでした」

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(井筒が戻ってこないことに気づき捜査一課に走る冴子)

来栖「久しぶりに飲みに行くか」

堀田「いいっスねえ。このあいだの店、あそこにしましょう」

冴子「チッ、3バカ…」

来栖「あれ?あんた、確かルポライターの…」

冴子「か・た・ぎ・り。井筒課長は?」

来栖「今帰ったけど。用があるって」

(冴子、何かに気づく)

冴子「…椎名?」(慌てて捜査一課を飛び出す冴子)

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(深夜極秘に退院した椎名がトンネルを歩いている。背後から足音がして伊達が現れる。前方からは車が道を塞ぐように停車し運転席から久遠が現れる。ゆっくりと武器となるコンクリートを拾う椎名)

椎名「まだ何か用?」

伊達「おまえは桃子さんを含む11人の死傷者を出しておきながら、心神喪失と偽って法から逃れた」

椎名「…またか。何度も言ってるだろう。俺は無罪なんだよ。おまえらがどんなに足掻いても無駄なの。あんなに殺しても何の罪にも問われない」

(椎名、コインの表側をかざす)

椎名「言ったろ?俺は選ばれた人間なんだよ。俺を裁くことなんて出来ないの」

(伊達、椎名に銃口を向ける)

伊達「だから俺が裁く」

(椎名、怒りに燃えた目でコンクリートブロックを片手に伊達に向かっていく)

椎名「ふざけんな…ふざけんな…ふざけんな!」

伊達「おまえに明日はこない」

(伊達、引き金を引く。久遠、そんな伊達の姿を見つめたまま、椎名が倒れているところまでゆっくり歩いてくる)

久遠「…なんでそんな悲しそうに撃つの?」

(伊達、驚いて久遠を見つめ、表情を強ばらせて視線を逸らす。久遠はそれ以上は触れず倒れている椎名を運ぶため椎名の腕を取る。その瞬間、椎名が逆に久遠の手首を強く掴んだ)

椎名「俺が精神鑑定で心神喪失を装えたって本気で思ってんのか?」

(狂気の瞳で手首をきつく掴んで引き寄せようとする椎名に久遠は恐怖心を抱く。伊達は椎名の意味深な言葉に眉を顰める)

椎名「ははっ、おまえらは何にもわかってないよ、ははは…ははははっ、ぎゃははは…!」

(久遠、懸命に椎名の手を外そうとするがなかなか解けない。椎名の狂気を目の当たりにした久遠は恐怖で慌てはじめる)

久遠「離せよっ!」

(久遠、腕を思い切り引っ張って椎名の手を振りほどき、そのまま椎名の顔面を蹴り飛ばす)

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(冴子、椎名が入院していた病院に向かう)

看護婦A「椎名さん、退院なんておかしいよね」
看護婦B「しかも深夜に裏口からって…」

(看護婦の会話を聞いた冴子は病院の裏口に向かうが椎名の姿はない。そのまま外へ出て椎名の姿を探す。伊達たちが椎名を拉致したトンネルまで来て、椎名がいつも表裏占いで使っていたコインを見つける。裏返してみるとそのコインは両方が「表」だった)

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(埠頭で椎名を三上に引き渡す。三上の車が去っていくのを見送りながら)

久遠「ねえ。奴ら閉じ込めてる場所ってどこにあんの?」

伊達「さあ」

久遠「さあって」

伊達「俺の役目は法で裁けなかった人間をここに連れてくるところまでだ。そのあとどうなってるか知らないし知りたいとも思わない」

(伊達、そういって踵を返す。久遠、伊達の背を見つめた後、椎名が久遠の手首につけた指の痕を見て、椎名が乗った車の方向に目をやる)

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冴子「椎名が行方不明になりました」

皆瀬「そうらしいですね」

冴子「心当たりありませんか?警察に何か言われたとか」

(皆瀬が連行されるシーン。
久遠「椎名は俺達が始末する。一生あんたの前に現れることはない。だからあんたは娘のぶんも生きるんだ」)

皆瀬「いいえ。私は何も知りません」

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(バーmikamiの掃除をする久遠。カウンターには伊達。カウンターの中には三上)

久遠「どうやって椎名を強制退院させたの?」

三上「おまえに話すことは何もねえよ」

久遠「CIAクラスのバックがついてるとか?」

三上「馬鹿なこと言ってねえで手ぇ動かせよ!」

(三上、考え込んでいる様子の伊達に気づく)

三上「どうした?」

伊達「椎名の最後の言葉…(伊達の脳裏に椎名の言葉が蘇る)」

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