2010年8月16日月曜日

第五話:伏線?セリフ集

 
井筒「謹慎明けてよかったな」

伊達「ご迷惑おかけしました」

井筒「おまえの尻拭いには慣れてる」

伊達「はは…」

(伊達とあすか、廊下を歩きながら)

あすか「伊達さんと課長って長いんですか?」

伊達「昔はあんなに気安く離せなかったけどね」

あすか「怖かったんですか?」

伊達「ま、君の兄さんはそうでもなかったみたいよ」

あすか「そうなんですか?」

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<5年前>

伊達「まさか君と同じ班になるとはねえ」

冴子「まあどこにいてもやることは変わんないけどねえ。…被疑者は逃走中か。面倒なヤマになりそうだね」

(井筒が部屋に入ってくる)

井筒「簡単な事件なんて一つもないぞ。まだ来ないのかもう一人は!」

(夏樹、廊下を小走りに走る)

夏樹「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ…」

(居住まいを正し捜査一課のドアを開け)

夏樹「遅れて申し訳ありません!(井筒の机の前まできて)今日から強行犯係4班に配属されました宮城夏樹です。よろしくお願いします!」

井筒「異動初日から遅刻とはいい度胸してるな」

夏樹「この借りは捜査で返します」

伊達「まだこれから捜査会議だよ」

夏樹「伊達!冴子も!なんだおまえらと一緒かよ!」

冴子「今気づいたの?」

夏樹「なんか楽しくなりそうだなあ。よろしくな!」

井筒「勝手に盛り上がってんじゃないよ」

夏樹「すいません」

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(あすかが運転するパトカーから口元を押さえて出てくる伊達)

伊達「おえっ…ぷ」

あすか「そんなに私の運転荒いですかぁ?」

伊達「気にしないで僕の三半規管のせいだから」

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冴子「課長」

井筒「あ」

冴子「課長が帰られたあの晩、椎名は姿を消しました」

井筒「何だよ、まだ疑ってんのか。結婚記念日でレストランを予約してたから抜けただけだよ」

冴子「もういいですよ。今日は宣戦布告に来たんです」

井筒「…そいつは穏やかじゃないね」

冴子「私、本格的に追いかけることにしましたから」

井筒「神隠しか?」

冴子「もう神様の仕業にしておくわけにはいきません」

井筒「…だったら誰の仕業だって言うんだい」

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(ロックされた金庫を前に)

あすか「伊達さんが開けるんですか?」

伊達「(上着を脱ぎながら)昔バイトで」

(耳を金庫に押し当てて真剣な表情でダイヤルを回し、上体を起こして神妙な顔であすかの顔をみる)

あすか「開いたんですか?」

伊達「無理でした」

あすか「…ですよね」

(しばらく後。金庫に聴診器を当ててダイヤルを回す久遠)

久遠「あのねえ。オレ鍵屋さんじゃないんだよ?」

伊達「知ってるよ。鍵も開けられるイケてる鑑識員でしょ?」

久遠「あすかちゃんとデート出来るって約束がなければ引き受けないんだよ、こんなこと」

あすか「そんな約束してませんから」

久遠「あれ、そうだっけ」

(久遠、鍵を開ける)

あすか「開いた」

久遠「(あすかに向かって)じゃどこいく」

(あすかと伊達、久遠を無言で押しのけ、金庫の中身を見る)

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久遠「柿原沙世に前科があったんだ」

伊達「5年前に婚約者を殺害?」

久遠「でも正当防衛で執行猶予が付いてる。しかも担当弁護士が氷川成美。柿原は利用されたのかもね。あの女弁護士に。そして幸田さんも。…早く見つけ出さないと真実が埋もれちゃう」

(伊達の目が厳しくなる)

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冴子「ごめんね、呼び出して」

あすか「あ、いえ。あの、伊達さんに内緒の話って」

(冴子、書類封筒をあすかに差し出す)

あすか「なんですか、これ?」

冴子「まだ世の中に流れてない原稿。ギブアンドテイク。ここからが本題。その封筒の見返りに夏樹の事件を一緒に調べて欲しいの」

あすか「どうして…?」

冴子「夏樹が殺された頃から神隠しが始まってる。5年前、夏樹はある事件に巻き込まれたんだ。夏樹の事件に神隠しに辿りつくヒントが隠されてるかもしれない。あなたも知りたいんでしょ?…誰が夏樹の命を奪ったのか」

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<5年前>

(チンピラの他殺体が海岸に打ち上げられる。現場に到着する伊達、冴子、夏樹。井筒は一足先に遺体の見分を始めている)

夏樹「こいつ、井筒さんにネタ流してた情報屋だ」

冴子「え?」

夏樹「井筒さん、こいつ…」

井筒「(夏樹を無視して)どこの組のもんだ?早く身元割り出せ」

(井筒立ち去る)

冴子「なんだ、知らないじゃん」

夏樹「違う。バレたくないんだよ。このヤマ、ただのチンピラの喧嘩じゃないかもな」

伊達「宮城、おまえ俺達に何か隠してるんだろう」

夏樹「何だよ急に」

伊達「どこでガイシャの素性を知った?」

夏樹「おまえは関わるな。おまえに何かあったら冴子が悲しむ。…付き合ってんだろ?おまえら?(伊達と冴子、顔を見合わす)…はは、わかりやすいんだよ、おまえら」

(夏樹、立ち去る)

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三上「あの氷川って女弁護士、どうするつもりだ?」

久遠「人権派とか言ってるけど実際は相当腹黒いよ?金になりそうな被告人ばっか選んでるって話だし。椎名の事件も親が資産家だから裏で大金が動いてたらしい。その資金を利用して近く政界にも進出するって噂もある。暴力団とかブラックな連中とも繋がってるみたい」

三上「裏社会の権力者同士が手を組むほど厄介なものはねえ。法で裁けるのか?」

伊達「このままじゃ無理ですねえ。幸田さんに会えれば氷川から脅されていた事実を知ることが出来るのですが」

久遠「もう面倒臭いからやっちゃおうよ」

三上「小僧、まだわかってねえのか!俺達が裁くのは最後の最後だ。とことん警察が追ってそれでも駄目だったときに動くんだよ!」

久遠「わかってるよ。冗談だって!」

三上「ふん!(久遠を殴るふりをする)あ、ビビってんの」

久遠「(小声で)ビビってねえよ」

三上「マジビビったろ今」

久遠「(更に小声で)ビビんねえよ」

伊達「ひとつ気になるのは奥さんの言葉だ。あの写真が流出するくらいなら鑑定の捏造なんてしない。だとしたら幸田さんは何を守ろうとしていたんだ?」

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あすか「幸田さんが三浦海岸の公衆電話から電話を掛けていたことがわかりました」

井筒「よし。宮城は幸田の妻にゆかりのある場所を聞き出せ」

あすか「はい」

井筒「他の者は現場に直行しろ。何かあったら逐一連絡するように」

捜査一課一同「はい」

伊達「すみません。自分の我儘にみんなを付き合わせてしまって」

(来栖、伊達に振り返って)

来栖「勘違いすんじゃねえ。別におまえのためじゃねえよ」

(来栖、立ち去る)

井筒「幸田を見つければ無差別殺人事件の全貌も明らかになる。いいか、必ず助けろ」

伊達「はい」

(廊下で久遠から声を掛けられる)

久遠「伊達さん!これ三浦の公衆電話の通話記録なんだけど面白いことがわかったよ」

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伊達「最後にひとつだけ聞かせてください。あなたにとって法とはなんですか?」

氷川「…くだらない」

(最後まで伊達を見据えたままゆっくりとドアを閉じる氷川)

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(救急車の中、死亡した幸田を前にする来栖と久遠)

来栖「…こんな結末ってありかよ」

(久遠、呆然と幸田の遺体を見つめる)

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(安置室の前で暗い表情で伊達を待っていたあすかと久遠。安置室には幸田の遺体と幸田の妻の姿が。幸田の妻が伊達に向かって深々と頭を下げる)

(夕日の差し込む久遠部屋。安置室から戻って来たあすかと久遠。壁に寄りかかって腕を組むあすかと、疲れたようにソファに深く座って俯く久遠)

久遠「…ご迷惑をお掛けしましただって。泣きつかれたり殴られたりするよりよっぽど堪えるよ」

(辛い心情を素直に口に出す久遠に、あすかは穏やかな口調で)

あすか「久遠さん。…なんか雰囲気…変わりましたね」

久遠「(ゆっくりとあすかを見上げる)…あ。もしかして惚れちゃった?」

あすか「(お約束の答えを言うように)違います」

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(氷川の事務所。急に電気が消える)

氷川「誰?」

(伊達と久遠が現れる)

伊達「おまえが幸田さんを自殺に追い込んだんだな」

氷川「だったら何?死人に口なしって言葉知らないの?私の言動は法に触れていない。法を冒さなくても人は殺せるのよ。あなたを社会的に抹殺することだって容易いのよ。法律はね、弱者を救うためにあるんじゃないの。そんなの幻想でしかない。もともと選ばれた人間のためにあるの。権力を持つものだけが得をするように作られてるのよ。あなたもわかるでしょう?権力側の人間だもの。ははは。利用出来ない人間が馬鹿なのよ!」

(伊達、銃口を氷川に向ける)

氷川「は。何?私を撃つつもり?」

伊達「法の裁きを逃れてもおまえの罪は消えない」

氷川「カッコつけないでよ。こんなことしてただで済むと思ってるの!」

伊達「おまえにあしたは来ない」

(伊達、引き金を引く。麻酔弾が氷川に当たり氷川が椅子に崩れ落ちる。背後から歩いてきた久遠、伊達の表情を見て少し怒ったように)

久遠「また悲しい顔して。こんなやつのための伊達さんが傷つくことないよ」

伊達「…運ぼう」

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幸田の妻「色々ご迷惑をおかけしました」

伊達「いえ。…そうだ」

(伊達、幸田の遺品のライカM7を取り出す)

幸田の妻「これは…」

伊達「幸田さんのカメラです。傍らに置いてあったそうです。一枚だけ撮られてましたよ。余計なお世話だと思ったんですが」

(伊達、幸田の妻に写真を渡す。そこには最後に自分で自分を撮った幸田の満足そうな笑顔があった)

幸田の妻「(泣きながら)写真映り悪いんだから…」

伊達「でもいい笑顔です」

幸田の妻「どうして…私なんかのために…どうして…」

伊達「あなただからですよ。あなただからご主人は命に変えて守ったんです」

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(伊達が署の廊下を歩いていると井筒が出てきて)

井筒「妙なことに首突っ込むと消されちまうのは、どの世界でも一緒らしい。ああそうそう。片桐が神隠しを追っているらしい。あいつも余計なマネしなきゃいいけどなあ」

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(夏樹が殺された現場に花を手向ける冴子)

冴子「…絶対犯人見つけるから」

<5年前>

(未明に一人で路地を歩く夏樹。物陰に潜んでいた男が持っていたサバイバルナイフの歯をクルリと上に向け、路上に飛び出し夏樹を襲う。相手の手首を掴み防戦する夏樹。男は夏樹の膝の後ろを蹴り上げ体勢を崩させて、夏樹の正面に回り込み夏樹の上腹部を刺す。苦痛の声を上げる夏樹。刺されながらも犯人の顔を見ようと顔をよじる。犯人の顔を見て驚く夏樹)

夏樹「…どうして…あなたが…」

(犯人、トドメを刺すように深く突き刺したナイフを更に上に持ち上げてえぐる。崩折れる夏樹)

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(深夜一人で夏樹殺害事件の報告書をめくるあすか。報告書の考察の中に「捜査一課長の井筒将明」という文字を見つけるが、続くページがなぜかファイルされていない)

あすか「捜査一課長の井筒将明…何で次のページがないんだろ…」

(背後からあすかの肩を叩く井筒。驚いて見上げるあすか。井筒は本心の見えない目であすかを見つめる)

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